モバイルオーダーと「ついで買い」機能の重要性
飲食業界や商業施設では、顧客の利便性を追求する一方で、いかにして売上を増やすかが課題となっています。株式会社favyが2024年8月に実施した調査では、特に「モバイルオーダー」に関する「ついで買い機能」が注目されています。この機能は、あたかも店員がすすめるように、顧客の購入を促す役割を担っています。
「ついで買い」機能とは?
「ついで買い機能」とは、顧客がスマートフォンなどの端末を介して直接注文する際に、関連商品を提案するシステムです。これにより、単体商品だけでなく、セット購入を促すことができます。例として、おにぎりを注文した顧客にお茶を提案するなど、人気のある商品同士を組み合わせることで、客単価の向上が期待できます。
調査内容と結果
favyの調査により、モバイルオーダーシステムを導入した商業施設でのデータを収集しました。この調査では、事前決済型のモバイルオーダーを利用した場合と、利用しなかった場合での決済状況の違いが測定されました。調査の結果、複数の商品が一回の決済に含まれる割合、いわゆる「複数商品決済率」が約1.4倍に上昇しました。
しかし、これは単にお弁当を2つ購入するような場合も含まれているため、「ついで買い」が成功したとは言い切れません。そこで、より具体的なデータを得るため、クロスセルに該当する商品を抽出したところ、クロスセル発生率は2倍以上に増加しました。これにより、「ついで買い機能」が効果的に売上を向上させる可能性が示されました。
今後の展望
今後は、「ついで買い機能」の提案精度を高めることが急務です。調査段階では、顧客の消費行動に基づいた提案が行われておらず、提案の質を向上させるためにはデータの蓄積と分析が不可欠です。このデータを基に、更にパーソナライズされた提案が可能になることで、顧客満足度の向上が期待できます。
結論
モバイルオーダーの「ついで買い機能」は、顧客の利便性を高め、売上向上を実現する重要なツールです。今後の進化により、飲食業界での新たなマーケティング手法として定着する可能性があります。顧客のニーズに寄り添った提案を強化することで、サービス体験の向上と顧客のリピートを促進し、業界全体の活性化に寄与することが期待されます。