アフガニスタンにおける医療教育の危機
アフガニスタン東部のホーストで産婦人科医として働く医師たちは、現在、困難な状況に直面しています。2023年12月21日、国境なき医師団(MSF)は、女性の医療教育機関への通学が禁止されたことが、女性の健康に深刻な影響を与えると警告しました。この方針は、公共や職場から女性を排除する措置が新たな段階に突入したことを示しています。
女性医療従事者の不足
アフガニスタンでは、男女で病棟が分かれているため、すでに女性医療者の数が不足しており、医療提供に一層の影響を及ぼしています。質の高い医療が求められる中、女性の医療従事者がいなくなることは、医療アクセスの危機を引き起こします。MSFのアフガニスタン活動責任者である末藤千翔氏は、次のように語ります。
>「教育を受けた女性医療従事者がいなければ、医療システムは成り立ちません。」
教育の重要性
アフガニスタンの医療ニーズは膨大で、これに対応できる医療者を育成するには、特に女性が教育を受けることが不可欠です。2021年から2024年にかけて行われた教育制限により、今後の女性医療者の数が激減することが見込まれています。特に妊産婦ケアには女性スタッフが不可欠ですが、ホーストではすでに必要な人員を確保することが困難になっています。2024年の上半期だけでも、MSFは2万2300件の分娩介助を行う予定です。
性別の壁を越えた医療提供の必要性
末藤氏はさらなる危機についても触れます。
>「もし女性が学べないのなら、未来の女性医療者はどこから来るのでしょうか。困難な状況にあるアフガニスタンの女性たちは、誰が彼女たちのケアをするのでしょう。」
これに対処するためには、あらゆる性別の専門家による医療提供が不可欠です。MSFは、必要なサービスを平等に提供できる環境を整えるため、声を上げ続ける方針です。
MSFの活動について
アフガニスタンにおけるMSFの活動は幅広く、ヘルマンドやクンドゥーズ、ヘラート、ホースト、カンダハール、バーミヤンなど7つのプロジェクトで医療を展開しています。2023年には、13万2600件以上の外来診察、9万6000件の入院、38万3600件の救急外来診察、1万5200件の外科手術を行い、医療ニーズに応えてきました。
まとめ
アフガニスタンでの女性医療者排除が進む中、医療システムの崩壊はもう時間の問題かもしれません。MSFは今後もアフガニスタンの女性が教育を受け続けられるよう声を上げていき、医療アクセスを守るための活動を続けていきます。これらの課題に対して、国際社会の支援が求められています。