『サライ』2025年2月号の特集内容
大人のための文化・教養誌『サライ』の最新号が、2025年1月9日に特別価格1,080円(税込)で発売されました。この号では、江戸時代の出版王・蔦屋重三郎(通称:蔦重)を大特集しています。彼の業績を通じて、日本の出版文化の深い部分にフォーカスし、その影響力を探ります。
蔦屋重三郎とは?
江戸の出版王と称される蔦屋重三郎は、その革新的な発想と経営手腕によって、当時の出版業界に多大な影響を与えた存在です。蔦屋重三郎は、吉原の一角で貸本屋を営んでいましたが、やがて日本橋の大手地本問屋を買収し、「蔦屋耕書堂」を設立します。このような発展は、彼が生きた時代背景や文化にも大きく関わっています。
美人画からブロマイドまで
特集の第一部では、蔦重が手がけた美人画、役者絵、黄表紙といった出版物に焦点を当てています。美人画は現代のグラビアピンナップに通じるものであり、人気絵師・喜多川歌麿によって描かれた町で評判の看板娘たちは、まさに「会いに行けるアイドル」を演出していました。さらに、蔦屋重三郎は能役者を絵師・東洲斎写楽としてデビューさせ、その大首絵はすぐに人気を博しました。これらは、現代でいうところのブロマイドの先駆けと言えるでしょう。
黄表紙は絵とセリフを通じて風刺を描く作品であり、現在のコミックの起源とも言われています。蔦屋重三郎の業績を通じて、当時の文化や人々の生活を読み解くことができるのです。
蔦屋重三郎の影響を感じる
特集の第二部では、喜多川歌麿の「美人画」、東洲斎写楽による「役者絵」、そして葛飾北斎の「風景画」といった彼が関わった浮世絵に焦点を当て、その背景に潜む意図を探ります。これらの作品は江戸時代の文化を色濃く反映しており、蔦屋重三郎のクリエイティブな発想がどのように育まれたのかを紐解くことができます。
特集号には、蔦重の最高傑作とも言われる『江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)』の栞付き超訳版も付きます。抱腹絶倒の36ページを収録し、原寸大で楽しめるこの内容は、蔦重ファンのみならず、多くの読者にとって魅力的なページとなっています。
特集「幸せの肉まん」
また、今号の第二特集として、「幸せの『肉まん』」も見逃せません。寒い冬の日に熱々の肉まんを頬張る瞬間は、何物にも代えがたい幸せを提供してくれます。肉まんは中国の包子(パオヅ)が日本に伝来し、独自に進化を遂げた間食です。この特集では、大陸からの流入や、70年代以降のコンビニエンスストア登場による多彩な肉まんの変遷について考察します。
第一部では現代のおすすめ肉まんの名店を紹介し、第二部では自宅で楽しむ極意や全国のお取り寄せ情報をお届けします。特集の中には、神戸の老舗「老祥記」をもとにした肉まんのルーツも掘り下げています。実に100年以上の歴史を持つこの店では、「豚まん」が生まれた背景と、その美味しさの秘密に迫ります。
今村翔吾さんインタビュー
さらには、作家・今村翔吾さんへのインタビューも掲載されています。彼は、「本があったから作家になれた」と語り、「ほんまる」と呼ばれる新形態の書店経営に挑戦しています。これにより、作家でありながら書店オーナーという二足の草鞋を履く姿勢に、読者も共感を覚えることでしょう。
この『サライ』2025年2月号は、読む人を魅了する内容盛りだくさんです。江戸時代の出版文化を深く学び、同時に現代の文化や食にも触れることができる貴重な機会です。ぜひ手に取って、その魅力を感じてみてください。