株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド(以下、SPW)は、アメリカのライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC(以下、AGI)の株式を取得し、子会社化しました。これは2025年9月に完了予定の手続きで、新たに設立したAce Hotels Worldwide Inc.を通じて行われました。これにより、SPWは「エースホテル」とのブランドシナジーを活かし、さらなるグローバル展開を進める狙いです。
「エースホテル」は1999年にシアトルでスタートしたブランドであり、地域の文化やアートと協調することを重視しています。このホテルは単なる宿泊施設ではなく、文化的な交流の場を提供することを目指しています。そのため、独特なインテリアや地元アーティストによるイベントが行われ、多くのファンを獲得しています。
SPWは海外展開を視野に入れた事業基盤を整えてきた歴史があります。例えば、2017年にはオーストラリアのStayWell Holdingsを取得しており、その後2024年には「西武グループ長期戦略2035」を発表しました。この計画により、250ホテル規模のグローバルホテルチェーンへ成長することが目標に掲げられています。
AGIの株式取得の背後には、グローバルなライフスタイルホテルブランドとしての地位を確立し、両社の強みを活かして市場競争力を高めるという目的があります。
出店機会の拡大
今回の提携により、SPWは新たにエースホテルを追加することで、国内外のホテルブランドの幅が広がり、より多くの出店機会を創出することが可能になります。また、両社が持つエリア開発のノウハウを相互に活用することも期待されています。SPWは日本及びアジア市場に強みがあり、一方でAGIは北米、ヨーロッパ市場での実績を持っています。これによりお互いのエリアにおいて、共同での拠点拡大を加速することが可能です。
顧客基盤の拡大
・西武グループの会員組織「SEIBU PRINCE CLUB」には約252万人の会員が存在します。今回の提携により、エースホテルの利用者層もこの顧客基盤に加わり、さらに両社の顧客数が増加することが見込まれています。
・エースホテル利用者は、西武グループの会員組織に新たに参画することで、広範囲にわたるアプローチが可能となり、その結果、双方において収益機会が拡大する見込みです。
エースホテルのブランディングノウハウ
この提携により、エースホテルから得られるコンセプト設計やデザイン選定のノウハウを活用し、さらなる体験価値の向上も期待されています。これはSPWが掲げる「日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン」への進化に寄与するでしょう。
株式取得の価額
AGI株式の取得にかかる費用は、最大で9,000万ドル程度とされています。
代表者の見解
SPWの金田社長は、「エースホテルとともに歩むことは、両社の成長にとっての大きな起爆剤となり、地域との共生を大切にしながら、新たなシナジーを生むことを期待している」と語っています。また、AGIのCEO、Chris Penn氏は、「エースホテルが持つ体験型ホスピタリティのリーダーシップを強化し、グローバルにその可能性を引き出す良い機会だ」とコメントしています。
この提携は、両社にとって新たな成長の扉を開くものであり、今後の展開が注目されます。