文教大学経営学部の挑戦
2026年8月23日、横浜のパシフィコで行われた「第15回日本小児在宅医学会学術集会」において、文教大学経営学部の田中克昌ゼミナールに所属する学生チームが注目の発表を行いました。この発表のタイトルは「医療的ケアを必要とする障がい児者と協働で行う課題解決型学修(PBL)がもたらす影響」であり、特に障がいを持つ中村亮介さんと彼のチームメイトである田中ゼミ生とのコラボレーションを通じ、医療的ケアを受ける子どもたちの日常生活に寄り添った課題解決に挑戦した内容です。
中村さんは、先天性ネマリンミオパチーを持ち、気管切開を受けているため、声でのコミュニケーションができませんが、AIを駆使して自らの意見を発信。また、彼の経験を基に、毎日の医療的ケアがどのような影響を持つかを語りました。発表のなかで、彼は二つの合同プロジェクト(PBL)を紹介しました。
二つのPBLプロジェクトとは
一つ目のプロジェクトでは、中村さんが「口から食べられなくても、皆と一緒に楽しむ空間が大切だ」と語り、障がいの有無に関わらず共に楽しめる店舗やサービスのあり方を探求しました。この発表は、ターゲットとなる企業(トリドールホールディングス、エステー株式会社、日本かおり研究所)との協力によって実現しました。
もう一つのプロジェクトでは、介護を行う側と受ける側の心理的負担に焦点を当て、日常のケアの中で「癒し」や会話の機会を提供できる商品やサービスを提案しました。これにより、支援される側も新たな価値を創造する主体として位置づけられています。
新たな価値創造のプロセス
このような取り組みは、障がいのある個人を単なる支援の対象として捉えるのではなく、その経験を価値創造の出発点として活用することを目指しています。中村さんや田中ゼミ生、介助者である佐々木淑子さん(社会福祉法人ソーシャルディベロップメントジャパン)の参加を通じて、それぞれの視点が交わり、新しい商品やサービスの創出に繋がる試みとなっています。
中村さんは「発表を通じて自分の体験が社会的課題解決に貢献できる」と自信を持った姿を示しました。彼の発表を聴いた他のゼミ生たちも多くの学びを得たことを語り、中村さんの経験を共有する重要性を実感しました。
学会でのリアルな反響
佐々木氏は、自身の介助者としての視点から「今回の発表は、医療的ケア支援の新たな道を示すものだった」と語り、発表の様子には感動を覚えたとのこと。また、中村さんの努力とゼミ生のチームワークが一つになったこの瞬間は、参加者全員にとって貴重な経験であったと強調しました。
この学会の成果は、9月9日に開催予定の「人を大切にする経営学会 第13回全国大会」にてさらなる論考が行われる予定です。真剣な研究を重ねてきた文教大学の学生たちが、今後も医療や福祉の分野の課題に果敢に挑んでいくことに期待が寄せられています。
文教大学の使命
文教大学は「人間愛」を建学の精神とし、多様なバックグラウンドを持つ学生たちが社会課題に対して合力して取り組む姿勢を大切にしています。今後もデジタル技術を活用しつつ、社会的な価値を創出する学びを通じて、地域や企業との連携を深めていくでしょう。学生たちの挑戦は、単なる学術活動にとどまらず、社会全体に向けたメッセージになっているのです。