慶応発の再生医療ベンチャーAdipoSeedsが臨床試験準備を加速中

慶応発の再生医療ベンチャーAdipoSeedsが臨床試験準備を加速中



慶應義塾大学の再生医療分野から立ち上がった株式会社AdipoSeedsが、革新的な医療技術の実用化に向けて、難治性皮膚潰瘍の治療を目指した臨床研究を進めています。AdipoSeedsは、ヒト脂肪組織由来の血小板様細胞(ASCL-PLC)に関する事業化を進めており、最近ではその研究成果が国際的な学術誌に掲載されるなど、注目を集めています。

この臨床研究において、ASCL-PLCの安全性について特段の懸念は確認されず、治療対象者の皮膚潰瘍が12週後に完全に閉じるなど、有効性も示されました。これを踏まえてAdipoSeedsは、国内での第I/II相試験を迅速に始めるための準備を進めており、すでに医療機器の管理機関であるPMDAに治験計画を提出し、今後の症例登録を2025年内に開始することを目指しています。

難治性皮膚潰瘍の現状



難治性皮膚潰瘍は、動脈血流障害や静脈うっ滞による虚血が一因であり、これらは糖尿病や血管疾患といった幅広い病状に関連しています。現在の標準治療では、 動脈供血障害による潰瘍に対しては、さまざまな治療法が用いられますが、重症患者の場合は手術が必要になることもあります。それでも、再発率が高く、完治までに長い時間を要することが課題として残っています。

このような背景から、AdipoSeedsが目指す新しい治療法の開発は特に重要です。同社は、治療に長い期間を要する患者の生活の質(QOL)を向上させるだけでなく、医療経済の改善にも寄与することを目標としています。

AdipoSeedsの取り組み



AdipoSeedsは、「脂肪から血小板をつくり、新しい血液の流れを創る」というミッションを掲げ、廃棄される脂肪から安全で低コストな血小板製剤を生み出すことに取り組んでいます。特に、再生医療においては、献血に依存しない輸血用血小板製剤の実現が期待されています。

AdipoSeedsは、悪化している血小板不足の問題を解決するため、難治性皮膚潰瘍に対する革新的な治療法として、ASCL-PLCの開発を進めています。同社の技術は、ASC(脂肪由来間葉系幹細胞)を基盤にしており、これをASCL-PLCへと分化誘導する独自の手法を用いています。これは、既存の治療法に代わる新しい選択肢を提供することが期待されており、その研究活動は業界でも高く評価されています。

現在、AdipoSeedsは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの支援も受けて、創薬ベンチャーエコシステムの強化事業に通過し、更なる研究推進を目指しています。2024年から2025年のステージ1を終え、今後はさらなるステージへと進み、研究の成果を実用化するための努力を続けています。

このような取り組みが実を結べば、長い間困難を抱え続けた患者にとっての光明となり、より良い未来を築くための大きな一歩となるでしょう。AdipoSeedsが描く再生医療の未来に、ぜひ注目していきたいところです。

会社情報

会社名
株式会社AdipoSeeds
住所
東京都新宿区信濃町35慶應義塾大学医学部内
電話番号
03-6822-0325

トピックス(科学)

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