気候変動へ対応するための洪水適応戦略が全国で類型化される

洪水対策の新たな示唆

気候変動適応法が2018年に施行されて以来、日本の基礎自治体は気候変動に備えた適応計画の策定を進めています。急増する洪水被害への備えは、その課題の重要性からますます喫緊の要請を受けています。しかし、多くの自治体が洪水発生の予測が困難であることから、具体的な対策を進めるための情報が不足している現状です。これを改善するために、東京都立大学の大澤剛士准教授と農業・食品産業技術総合研究機構の櫻井玄上級研究員らの研究チームが、過去40年の豪雨データと現在の土地利用を用いて全国の市区町村を6つのクラスに分類しました。

洪水防止のための6つの類型

この新しい類型化の成果は、各自治体の特徴に応じて異なる洪水リスクを明らかにします。たとえば、中には集中豪雨が増加している地域もあれば、安定している地域も存在します。この研究では、豪雨と土地の使われ方を分析し、洪水に対する脆弱性や頑健性を評価しました。それにより、特定の条件に応じた効果的な適応策が提案されています。これにより、自治体は自身の状況に合った対策を計画するための基礎情報を得ることができ、具体的な適応策の立案に向けた判断材料が提供されるのです。

科学的根拠に基づく適応策

洪水対策には、構造物による防御策と生態系を活用したグリーンインフラの活用という二つのアプローチがあります。前者は確実な防御効果が期待できる反面、コストが高く、限られた場所にしか適用できません。一方、後者は生態系に影響されるため、適切に活用されなければ効果が薄れる可能性があります。これらのアプローチを効果的に組み合わせることが、今後の洪水対策の鍵となります。