大阪大学と富士通が手を組み生成AIで教育の新境地を探る

多文化多言語の子ども支援に向けた新たな架け橋

本日は、大阪大学大学院人文学研究科附属の複言語・複文化共存社会研究センター（阪大ふくふくセンター）と富士通Japanによる新たな共同研究の発表についてお送りします。このプロジェクトは、2025年6月から9月までの4か月間をかけて、多文化多言語の子どもたちへの教育支援を生成AIによって実現することを目的としています。

背景

現在、日本には急増する多文化多言語の子どもたちが存在しています。最新の調査によると、5歳から19歳までの外国籍の子どもは48万人以上になり、そのうち約13万人が公立の小中高に通っています。これらの子どもたちがそれぞれ異なる文化的や言語的背景を持っているため、個別に最適な教育を提供することがますます求められています。

この共同研究では、阪大ふくふくセンターの豊富な実践知や、文部科学省が2025年に発表予定の新しい評価基準「ことばの力のものさし」をAIに学習させ、特に多文化多言語の子どもに合わせた個別の指導計画を構築するAIモデル、通称「教育支援AI」を開発します。

教育支援AIの概要

教育支援AIは、子ども一人ひとりの能力や文化的・言語的背景を分析し、教師がどうにかしてアプローチできるような指導方法を提案します。この中で、教員の教育観に基づいた個別の指導計画を策定する役割が期待されています。この仕組みを使えば、教員は限られた時間の中でまなびの質を高めることが可能です。

共同研究の進行

この研究の段階は次の通りです。

1. データ収集と分析：子どもたちの言語発達に影響を与えるデータを集め、相関関係を分析します。
2. 教育支援AIの開発：収集したデータをもとにAIモデルを構築し、その有用性を検証します。
3. 教員へのフィードバック：AIが作成した個別の指導計画について、阪大ふくふくセンターが助言を行います。これは、実際に教育現場での実装を見据えたものです。

今後の展望

両者は2025年度内にこれらの成果を活かし、大阪府と連携して教育支援AIの有効性を検証する予定です。最終的には多文化多言語の子どもたちが安心して学べる教育環境を整え、教育の質向上と公正性の確保に寄与することを目指しています。

大阪大学の櫻井千穂准教授は、「教育の現場にAI技術を生かすことで、専門的な知識を広く共有し、多文化多言語を持つ子ども一人ひとりへの支援がより確かなものになると信じています」と語っています。こうした取り組みは、日本社会が抱える公正な教育環境の確立にも大きく寄与するでしょう。