小山市が描く救急搬送の新しい未来
栃木県小山市消防本部は、現代のデジタル技術を活用した救急搬送支援アプリ「スクエル(SQ-L)」を導入しました。この新しいシステムは、2025年4月から本格運用が開始され、現在、試験運用を行っている段階です。小山市はこのアプリを通じて、救急業務のデジタル化と現場活動の円滑化を目指しています。
導入の背景とニーズ
近年、小山市では救急出動件数が増加し、医療機関への受け入れ照会の頻度も上昇しています。この影響で、患者が医療機関に収容されるまでの時間が長くなってしまうという課題が浮上していました。そこで、小山市消防本部はこの問題を解決するため、株式会社麻生情報システムが開発した救急搬送支援アプリ「スクエル(SQ-L)」を導入したのです。このアプリは「LINE WORKS」をプラットフォームとし、仕組みを最適化して利用しやすさが向上しています。
スクエル(SQ-L)の機能
「スクエル(SQ-L)」の最大の特徴は、複数の医療機関に対して一斉に情報を送信できる機能です。以前は救急隊員が徒歩や電話で個別に確認を行っていましたが、このアプリを利用することで、傷病者の情報を一元管理し、聞き間違いのリスクを低減します。また、心電図や画像データの共有も可能で、医療機関に必要な情報を迅速に提供することができるのです。
1. 一斉照会機能
新たに導入された一斉照会フローでは、救急隊隊員が搬送情報を文字入力し、複数の医療機関に同時に送信することができます。これにより、情報の伝達が迅速化し、医療機関の受け入れ判断がスムーズになることが期待されます。
2. 豊富な情報共有
心電図や血圧、酸素濃度といった患者のバイタルデータを、チャット機能を使用して現場から医療機関へ迅速に送信できます。更には、現場写真や動画も共有できるため、より詳細な状況把握が可能になります。これにより、医療スタッフが現場の状態を把握した上で、適切な治療を迅速に行う手助けとなります。
トライアル運用と参加医療機関
現在、2025年2月から「スクエル(SQ-L)」のトライアル運用が行われており、9つの医療機関と8つの救急隊が参加しています。小山地区内の医療機関や、近隣の栃木市にある医療機関も協力し、今後の拡大が見込まれています。この取り組みは、栃木県における救急搬送支援アプリの初導入であり、LINE WORKSを使用した救急業務用アプリとしても全国初の試みです。
今後の展望
LINE WORKS株式会社は、麻生情報システムとの連携を強化し、救急現場における迅速な対応を可能にするためのサービス改善を継続していく方針です。特に今後は、参加する医療機関をさらに増やし、地域医療体制との連携を深めていくことが期待されています。
「スクエル(SQ-L)」により、小山市の救急サービスは新たな次元へと進化していくでしょう。デジタル化された救急対応は、患者の命を守るための大きな一歩となります。