團十郎襲名披露巡業
2024-07-03 13:46:37

十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業、最後の全国公演がスタート!歌舞伎への熱い思いを語る

2024年8月30日から9月27日にかけて、全国18カ所23公演で『十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業』が開催されます。市川海老蔵が十三代目市川團十郎白猿を襲名してから約2年。2023年には全国各地で襲名披露巡業を成功させた團十郎が、今回の巡業で最後の襲名披露に臨みます。都内で行われた取材会で、團十郎は歌舞伎への熱い思いを語りました。

「東京での公演も大事にしていますが、地方で歌舞伎をすることの大事さは、若い頃から諸先輩方からもお話しをお伺いしており、ここ10年ほどは旅巡業公演も重視して公演を開催してきました。今回の巡業では『河内山』を演じますが、歌舞伎十八番ではないのですが、私自身、好きなお芝居です。9月に巡業、10月に松竹座公演を終えて、11月からは襲名披露巡業ではなくなりますので、ようやく安堵できるのかな、と思っております。」と、團十郎は語りました。

襲名披露巡業を終え、心境の変化があったか尋ねると、「歌舞伎と向き合う時間というものが海老蔵時代よりもだいぶ深くなったように思います。今はもっと歌舞伎を自分が楽しみたい。そして自分が楽しんだ結果、お客さま方にもそれが伝わるような歌舞伎を、古典でも新作でもやってみたいです。そこは今までにない、新しい心境ですし、それをやらなくてはならないと感じています。父に教わったことを受け継いで、それを次の世代に渡すという責務を大きく感じています。それをしていくために、自分自身が楽しんで、それがお客さまにも伝わっていくこと。それを次代の人間たちが見て、ああいう風になってみたいと思ってもらえるような形が、結果としてはいいんじゃないかという変化がありました。」と、歌舞伎への熱い思いを語りました。

襲名披露巡業と歌舞伎座などでの興行の違いについて尋ねると、「襲名披露巡業というものは、楽しめるものではありません。責務の大きさが第一にありまして、そこで楽しむ、楽しまないは別のお話なんですね。ただ、襲名披露巡業をやっている2年間の間にも、普通の興行が混じってきます。歌舞伎座の團菊祭ですとか、新橋演舞場での子どもたちとの興行ですとか、来月には「星合世十三團」もございます。そういうものが混じってくることによって、襲名披露の巡業中ではありますが、普段の興行に戻ったときに解放感を感じられます。襲名中にしか起こらない、非常に特殊な状況です。解放されているからと言って、手抜きをしているということではもちろんないのですが、解放されているからこそ芸事の楽しさ、深みなどを感じやすくなっているのではないかと思います。」と、團十郎は答えています。

今回の演目『河内山』について、「質屋のお嬢さんが大名家に奉公へ行ったところ、お殿様に気に入られてしまって女性として逃げられない環境になってしまうのですが、そこを御数寄屋坊主が高僧に扮して乗り込んでいくというお話しです。その後、扮していることが見つかってしまいますが、見つかってもなお怯むことがなく「それがどうしたんだ」と凄みます。最後はとてもわかりやすい展開になっていまして、襲名披露巡業でできることがとても嬉しいですね。」と、團十郎は説明しました。

演じられる数寄屋坊主・河内山宗俊について、「今の時代であれば、コンプライアンス的に存在できないようなタイプです。そういう役柄は歌舞伎の中に非常に多いんですよね。河内山は、ただの御数寄屋坊主ですが、ちょっと曰くがありげな危険人物。質屋のお嬢さんを返してもらうために親は何とかしてほしいわけですが、ただの坊主なのに引き受けてしまうんです。そして、200両という大金をほしいと言うのですが、引き受けるだけで100両、娘が戻ってきたらさらに100両を要求します。それはもう、引き受けた時点で勝つことが確定なのです。それで偉いお坊さんになって騙していくのですが、帰り際に正体がバレてしまう。でも、そこでもうまく返して勝つところが、爽快な演劇だと思います。古典で難しい言葉は出てくるかもしれませんが、少しでもわかりやすく伝えられるように演じたいと思っています。」と、團十郎は力強く語りました。

今回の巡業には、市川團十郎をはじめ重要無形文化財保持者(人間国宝)の中村梅玉、市川右團次が出演。さらに、大谷廣松、中村莟玉、市川九團次、片岡市蔵が名を連ねます。襲名披露を寿ぐ舞踊『祝成田櫓賑(いわうなりたしばいのにぎわい)』では鳶頭を市川右團次と市川九團次が勤め、賑々しく華やかに巡業を彩ります。

『口上(こうじょう)』では、袴姿の俳優からお祝いの口上が述べられ、十三代目市川團十郎白猿より来場くださった皆様へ、襲名披露のご挨拶を申し上げます。

そして、河竹黙阿弥の名作『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』からの一幕となる、『河内山(こうちやま)』では、色気と愛嬌を兼ね備え、危険な香りのする河内山宗俊を團十郎が演じます。黙阿弥ならではの七五調の名台詞にもご期待ください。

「十三代目 市川團十郎白猿襲名披露巡業」は、伝統芸能である歌舞伎の魅力を再確認できる貴重な機会となります。ぜひ、劇場に足を運んで、團十郎の熱演をご堪能ください。


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