ジェイテクトの新技術
2020-06-24 10:02:38
株式会社ジェイテクトがSPARK Proを採用、安全性重視の自動車ソフトウェア開発へ
自動車用ソフトウェア開発の新しい道
株式会社ジェイテクト(JTEKT)が、自社の電動パワーステアリングシステムのソフトウェア開発において、AdaCoreのSPARK ProツールスイートおよびGNAT Pro Common Code Generator(CCG)を導入することを発表しました。近年、自動車の安全基準が厳格化されている中で、正式に選定されたこのツールは、パワーステアリングシステムの安全性を高めるための重要な一歩です。
SPARK Proの導入による新しい価値
SPARK Proは、Ada言語のサブセットを利用した開発ツールで、プログラムの正確性を精密に検証する機能を持っています。これにより、JTEKTは高リスクの運転支援システムでも、安心して運用できるソフトウェアの開発が可能になります。今回の導入は、パワーステアリングシステムの制御ソフトウェアが自動運転技術と連携し、トラブルを未然に防ぐ手段として特に重要です。
JTEKTは、これまでの開発にあたるCコードの単体テストが容易になることで、開発プロセスの効率化にも繋がると期待しています。特に、誤動作が引き起こす生命に関わる危険性を考慮し、ISO 26262の一環であるASIL Dに適合するように設計されています。この標準に基づく安全性は、自動車業界にとって必要不可欠な要件といえるでしょう。
安全性への取り組み
JTEKTの先行システム開発部の米木真哉氏は、「私たちは信頼性への要求が高まる自動車ソフトウェアの研究を進めてきた中で、SPARKに出会えたことを喜ばしく思っています」と述べています。彼は、AdaCoreの特性が自社のソフトウェアテストの開発コストを削減し、安全且つ強固な量産コードの開発に寄与すると信じています。
AdaCore社の日本営業責任者ジュアン・カルロス・ベルネド氏も、SPARKの形式手法を使ったコードの正しさの証明が、業界での最前線技術であると語りました。これにより、自動車業界最高レベルの基準を満たすソフトウェア開発が実現可能になるという注目の取り組みです。
ISO 26262とASIL D
ISO 26262は、自動車システムの機能安全性についての規格で、ASIL(Automotive Safety Integrity Level)はそのレベルを示します。AからDのランクがあり、Dが最も高い安全基準です。JTEKTの新プロジェクトがこの基準に適合することで、顧客や市場に対しての信頼性も大きく向上する見込みです。
企業背景
株式会社ジェイテクトは、光洋精工株式会社と豊田工機株式会社が合併して設立された企業です。両社の技術をベースに、自動車部品やベアリング、工作機械などを製造・提供しています。自社の技術をさらに進化させるため、SPARK Proの導入は大きな意味を持つでしょう。
一方、AdaCore社は安全性が重要なシステム向けに、ソフトウェア開発・検証ツールを提供しており、多くの業界で高い評価を得ています。今回のニュースは、自動車業界全体にとっても大きな影響を与えるものになりそうです。
これにより、安全性への新たなアプローチが生まれ、今後の自動車ソフトウェア開発がさらに進化することが期待されます。
会社情報
- 会社名
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Ada Core Technologies Inc.
- 住所
- 150 W. 30th Street, 16th floor New York, NY 10001 USA
- 電話番号
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