2040年に向けたスマートビレッジ構想と農業の革新
株式会社ルートレック・ネットワークスは、2040年に向けた「スマートビレッジ構想」を発表しました。これは日本の農業従事者が2023年の116万人から2040年には36万人に減少すると予測される中、持続可能で生産性を向上させるための新たな取り組みです。
新たな農業の道筋
長崎県壱岐市に新たに設けられた自社圃場、ルートレック・ファーム2では、「ゼロアグリシリーズ」を活用した、新型ハウスと新しい生産体制が導入されました。ここでは今後の農業を支えるために、スマート農業技術をパッケージ化した新しい取り組みが実証されます。特にアスパラガスの生産に焦点を当て、農業の効率を最大限に高めながら、地域の雇用を促進することを目指しています。
高齢化対策と新規就農者支援
長崎県壱岐市は、高齢化や担い手不足という課題を抱えています。そのため、収穫量を維持し、さらなる拡大には新規就農者の育成が不可欠ですが、実際のアスパラガスのハウス栽培は、長年の経験や技術が求められ、新たな就農者の障害となっていました。ルートレック・ファーム2の取り組みでは、データや自動化技術を活用した栽培の最適化を進め、農業の環境負荷を減少させることを目指しています。
スマート農業技術の導入
同社の新製品、AI統合環境制御システム「ゼロアグリPlus」では、地下部のかん水・施肥の自動化に加え、地上部の環境制御も実施しています。このシステムは、日本の施設園芸市場の90%を占めるパイプハウス向けに設計されており、効率的な農業生産に寄与します。これにより、従来の手作業に依存しない新しい農業の形が普及しつつあります。
新型ハウスの利点
ルートレック・ファーム2では、農研機構西日本農業研究センターと香川県農業試験場が共同開発したNNハウスが採用されています。この新型ハウスは高い通気性と温度管理を実現し、アスパラガスがのびのびと育つ環境を提供します。特に、台風や強風に強い設計となっており、農業現場の安定性を向上させます。
新しい生産体制の展望
加えて、従来の平畝から高畝アスパラガス栽培へと移行することで、労働負荷を軽減しました。この新しい方法では、通路幅を確保しつつ、夏場の高温時期における負担を減らす方向で進めています。また、将来的にはロボットによる収穫や防除が可能なシステムを構築し、生産性の向上を図ります。
環境に配慮した持続可能な農業
環境保全に向けた取り組みとして、化学農薬に頼るのではなく、天敵や防虫ネットなどを利用したIPM(総合防除)による減農薬の推進を目指しています。このような革新的な農業手法を通じて、生産者や地域社会に新たな価値を提供することが期待されています。
経営者からの期待
ルートレック・ネットワークスの代表取締役社長、佐々木氏は、「この10年間で得た知見を基に、ルートレック・ファームが新しい農業文化のモデルとなり、地方創生に寄与できることを願っています」とコメントしています。農業の未来を見据えた取り組みは、多くの注目を集めることでしょう。
終わりに
ルートレック・ファーム2の取り組みは、農業の未来展望を模索するものです。新技術の導入や新たな生産方式の普及を通じて、この地域だけでなく日本全体の農業の活性化に寄与することが期待されています。新規就農者の増加とともに、スマート農業が広がる未来を見越した取り組みに注目です。