九州大学とFusicが手を結んだ心理的安全性の新技術
株式会社Fusicは、福岡県に本社を構えるテクノロジー企業であり、九州大学 システム情報科学研究院の荒川研究室と共同で「心理的安全性の可視化とチーム力強化ツールの開発」に向けた産学連携を開始しました。この取り組みでは、オンラインコミュニケーションの手法を利用して、企業のチームの生産性を向上させるための新たなツールを開発することを目指しています。
産学連携の背景と目的
近年、リモートワークやハイブリッドワークの普及に伴い、オンラインチャットが組織内でのコミュニケーションの重要なツールとなっています。しかし、その一方で、発言の偏りや心理的安全性の欠如、知識の分散といった新たな課題も顕在化しています。特に心理的安全性は、チームの生産性や創造性を高めるために不可欠な要素でありながら、従来は主にアンケートベースで測定されていたため、リアルタイム性や客観性に欠けていました。
九州大学の荒川研究室は、IoTやAIを駆使した人間行動認識技術の研究を進めており、内面的な状態を推定することで組織の動的な状況を把握する新たな手法を開発しています。その知見を元に、Fusicが提供してきた360度フィードバックサービスのノウハウを活かし、オンラインチャット上のやり取りを分析し、心理的安全性を自動的に測定・可視化するアプローチを導入することが決定されました。
共同研究開発の具体的内容
この共同研究では、以下の要素が中心となります:
1.
心理的安全性アンケートの設計 - 学術的根拠に基づいた高信頼性のデータを構築します。
2.
発言データの分析 - オンラインチャットの発言傾向を測定し、チーム内でのやりとりの可視化を行います。
3.
改善支援ツールの開発 - チームの状態を可視化し、改善をサポートする新しいツールを共同で開発します。
これらの取り組みにより、社員がより健全に活躍できる職場環境を整備し、孤立感や孤独感を予防する包摂的な組織づくりへとつながることが期待されています。
九州大学 荒川研究室とFusicの展望
研究を指揮する荒川教授は、多様な働き方が進む中、オンラインチャットの活用が不可欠であると述べています。「この研究は職場の環境をセンサーで捉え、必要な介入を探るものです」とコメントしました。
Fusicの代表取締役社長、納富貞嘉氏も、本研究の意義を語り「オンラインチャットに蓄積されるデータから新しい洞察を引き出し、挑戦できる安心感のある職場作りを推進する」と意気込みを示しています。
今後は、この研究成果を企業で実証し、学会や産業応用へと展開していく予定です。さらに、九州大学の研究力とFusicの実装力を融合させ、新しいチーム支援プロダクトの開発を進めていく方針です。
企業情報
Fusicは、九州大学大学院の在学中に設立され、クラウド、AI、IoT、Webアプリ開発などを手掛けています。また、宇宙ビジネスにも着手しており、顧客要求に応じた技術解決を目指しています。公式ウェブサイトもぜひご覧ください。
Fusic公式サイト
この共同研究がもたらす新たな可能性を届ける日も近いかもしれません。今後の展開に注目です。