Instamic社を完全子会社化したズームの戦略的行動とは

株式会社ズームのInstamic社完全子会社化

2025年7月1日、株式会社ズームが米国のInstamic社とスウェーデンのInstamic AB（総称してInstamic社）の全株式を取得し、完全子会社化することが発表されました。ズームは自社の製品ラインを強化し、ワイヤレスオーディオ録音市場での地位を確立することを目的としています。

Instamic社の魅力

Instamic社は、カリフォルニア州でスタートアップとして設立され、特にクリエイター向けの高性能なワイヤレスマイクを手がけています。これまでの市場では、体積が大型で操作が複雑な送信機・受信機モデルが主流でしたが、Instamic社はその枠を超えた製品を実現。超小型かつ防水設計で、32ビットフロート録音機能を搭載したマイクは、アクションスポーツや映画制作現場など厳しい環境でも高いパフォーマンスを発揮します。

また、Instamic社が目指しているのは「どこでも」使えるマイクの開発であり、そのビジョンは現代のビデオクリエイターたちのニーズにぴったりと合致しています。ズームのCEO、工藤俊介も「Instamicの成長を追いかけてきた」と表現し、両社のコラボレーションに大きな期待を寄せています。

ズームの戦略的な意図

ズーム社は、2024年12月にInstamic社との基本合意書を締結した後、じっくりと交渉を重ね、遂に全株式を取得しました。ズームのこの動きは、Instamic社の先端技術を取り込むことで、同社の製品ラインの拡張を目指すものです。さらに、ズームはInstamic社の販売網とサプライチェーンへのアクセスを得ることで、販売促進を加速させ、より強力な市場競争力を目指しています。

今後の展望

Instamic製品は、2025年秋に北米市場での販売を開始し、2026年からは全世界での展開を予定しています。この新たな展開により、ズーム社のさらなる成長が期待されます。2025年12月期の業績には直接的な影響は少ないものの、次世代に向けた重要なステップと見なされています。これまで以上に多様なニーズに応える製品が開発されることでしょう。

取締役ファウンダーの飯島雅宏氏も、「Instamicを迎えることは、戦略的に重要な第一歩である」と明言しています。今後は、気になる市場での展開や新製品の発表が続くことが予想され、期待が高まります。