太陽光パネルの再利用
2025-09-01 13:15:02

日立、イトーキ、トクヤマによる太陽光パネルのアップサイクルで新たな価値を創出

3社の連携による太陽光パネルのアップサイクル



環境問題への対応が叫ばれる中、さまざまな業界で持続可能な開発が進められています。特に再生可能エネルギーの発展に伴い、使用しなくなった太陽光パネルの処理が新たな課題となっています。これに対し、株式会社日立製作所、株式会社イトーキ、株式会社トクヤマの3社は、太陽光パネルから回収した板ガラスをオフィス家具として再利用するプロジェクトに取り組んでいます。

背景と課題



2030年代には、使用期限を迎えた太陽光パネルの大量廃棄が予想されています。国内では年間最大50万トンに達するとの見込みもあり、このままでは廃棄物が増加し、環境に対する負担が増大します。このため、欧州連合をはじめとする国々では太陽光パネルのリサイクルの義務化や厳しい廃棄規制が導入されています。

特に、太陽光パネルの部材の約60%を占める板ガラスを高付加価値で再利用することが、リサイクル率向上の鍵となるでしょう。しかし、長期間の屋外使用による劣化が懸念され、現行の手法では粉砕したガラスを路盤材や新たなガラス原料として活用することが多いため、再利用における安全性や耐久性に不安が残っていました。

共同研究の取り組み



日立、イトーキ、トクヤマの3社は、2024年9月から共同研究を開始し、廃棄されるはずの板ガラスをそのまま再利用できる新技術を開発しています。特に今回のプロジェクトでは、トクヤマの独自の低温熱分解法を活用して、高品質なガラスの回収に成功しました。この方法により、ガラスの品質を保持しつつ、環境負荷を大きく削減できるのです。

日立は非破壊強度推定技術を使用し、劣化要因である亀裂やアルカリ溶出を詳細に評価することで、再利用可能な板ガラスの安全性を確保しています。この技術により、回収したガラスがオフィス家具部材として問題なく使用可能であることを確認しました。

アイデアの具現化



イトーキは、板ガラスの特性を活かした会議ブースを試作しています。例えば、ガラスの微細な凹凸を意匠材として取り入れることで、単なる機能に留まらない美しさを持った空間を提案しています。このように、廃材をただ再利用するだけでなく、新たな価値を生み出すことが目指されています。

環境への貢献



この取り組みによって、使用済みのガラスを再利用することで、CO₂の排出量を最大50%も削減できるとされています。新規にガラスを製造する場合と比較して、原料の採掘や製造に伴う環境負荷を大幅に減少させることが可能です。この成果は、本プロジェクトが環境問題解決の一助となることを示しており、さらに業界全体でのサステナブルな取り組みの促進が期待されています。

今後の方向性



今後、3社はこのアップサイクルの技術をさらに実用化し、他の建材分野にも応用する予定です。また、業界全体での協力を通じて、資源循環型社会の実現を目指し、リサイクルの社会的実装を加速していく方針です。なお、この成果は2025年に開催予定の学会でも発表される予定で、さらなる注目が集まることでしょう。

環境への意識が高まる現代、日立、イトーキ、トクヤマの共同研究は、これからのオフィスや公共空間に新たな価値をもたらす可能性を秘めたものと言えます。これにより、私たちの働く環境が、ただ快適であるだけでなく、持続可能でもあることが求められる時代が到来するのです。


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会社情報

会社名
株式会社 日立製作所
住所
東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話番号
03-3258-1111

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