ファンケルが挑む高校生向けサイエンス教育
化粧品やサプリメントの開発で知られる株式会社ファンケルは、2024年11月12日、藤沢市の私立高校で特別なサイエンス講義を開催しました。このイベントは、科学に興味を持つ高校3年生を対象とし、実際の研究所見学も交えながら行われました。参加者には理系進学希望者が多く、興味深い学びの時間となりました。
講義内容の概要
本講義は、化粧品開発において重要な「界面活性剤」や「乳化現象」についての説明から始まりました。界面活性剤は、化粧品のクレンジング製品などに使用され、油汚れを効果的に落とすための必須成分です。この日の実演では、特製の分子模型を使い、界面活性剤の働きや乳化現象を目で見て学ぶ機会を提供しました。生徒たちは、水と油が混ざる仕組みを体感しながら、その理由を考える楽しさを味わったのです。
また、水の表面張力を理解するためのゲームも実施しました。満水のコップにおはじきを一つずつ入れ、その後に界面活性剤を加えると、水がこぼれる様子を観察し、なぜそうなるのかを全員で議論しました。この体験を通じて、科学的な原理を身近に感じ、理解を深めることができました。
皮膚透明化技術の解説
講義の後半では、化粧品の効果を視覚的に確認可能にする「皮膚透明化技術」が紹介されました。この技術は、皮膚の内部を観察可能にし、化粧品の効果を確かめるためのものです。皮膚内に光が届くためには、屈折率を均一にする必要があることを説明し、受講者は皮膚模型を用いたデモンストレーションで、その仕組みを目の当たりにしました。不透明な模型が透明になる過程を観察することで、技術の価値を実感しました。
参加者の反応
講義終了後に行われたアンケートには、生徒たちのポジティブな意見が多数寄せられました。「学んだ内容が実際の仕事にどう生かされているかを見られた」「模型を使用した説明のおかげで理解が深まった」「科学の原理を伝える方法を学び、文化祭などに応用できる」との高評価が目立ちました。特に、ファンケルのものづくりへのこだわりや、安全への取り組みについて知識を得られたことも、大きなポイントとなっていました。
有意義な学びの時間となったこのイベントは、理工学部や薬学部へ進学を希望する生徒にとって、「自分の進路を考えるきっかけになった」という声も聞かれ、さらなる進学意欲を喚起しました。
ファンケルの取り組み
ファンケルの総合研究所は、研究所の見学を介し、企業の姿勢や製品の品質について直接体験する機会を提供しています。これまでに、8,000人以上の方々が訪れ、その中には小中高生も多数含まれ、自社の開発技術や肌ケアの重要性について分かりやすい実験を交えながら紹介しています。今後も定期的に見学会を実施し続け、科学の楽しさを広めていくことが期待されています。