最新号「小説新潮」の見どころを解説
本日発売された「小説新潮」2025年7月号では、注目の新連載が二本スタートしました。まず一つ目は、著名な作家である奥田英朗の新作『府中某重大事件』です。これは日本の犯罪史における最大の未解決事件とされる3億円事件を背景にした作品で、これまで『オリンピックの身代金』や『罪の轍』といった名作を手掛けてきた奥田氏が、どのようにこの事件をフィクションとして描くのか、非常に興味深い試みです。
本号では、奥田氏が執筆にあたる過程やテーマについて、川本三郎との対談も掲載されており、作品の背景に触れる貴重な機会となっています。この対談では、小説執筆に対する姿勢や、3億円事件の持つ社会的影響についても言及されており、文学ファンには見逃せないコンテンツです。
さらに、もう一つの新連載は、漫画界の巨星であるこうの史代さんの初登場作『かぐやサン』です。この作品では、いとうつくしげな使者が地球に降り立つ様子が描かれており、作者特有の感性が際立つストーリーとなっています。こうのさんといえば、『空色心経』や『この世界の片隅に』など、幸せや素晴らしさを巧みに描く作品で知られていますが、今回も期待を裏切らない仕上がりになっています。
特集「真夏の時代小説」
その他にも、本号では「真夏の時代小説」と題した特集が組まれており、佐藤賢一、武内涼、天羽恵、梶よう子といった作家による短編小説を楽しむことができます。これらの短編は、日本の夏という背景の中で、さまざまな人間ドラマを描いており、文学的な深みを感じさせます。
さらに、著名なエッセイストであるジェーン・スーさんと上村裕香さんによる対談も必見です。親の介護をテーマにしたこの対談では、厳しい現実から生まれるモヤモヤを笑いに変える知恵や、日常の中にある明るさを見出す術について深く掘り下げています。
山本周五郎賞の発表
また、特集の中では第38回山本周五郎賞の選評もあり、受賞作退出作と歴代受賞作家たちの競作も紹介。これにより、これまでの文学の流れを把握する良い指南となるでしょう。
この「小説新潮」2025年7月号は、内容が豊富で知的好奇心を刺激する要素が詰まった一冊です。価格は1,000円(税込)ですが、充実した内容を考えるとコストパフォーマンスは非常に高いといえるでしょう。文学ファンや小説好きにはたまらない一号です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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小説新潮