滋賀県における生成AIの全庁導入がもたらす新しい行政の形
株式会社エクサウィザーズのグループ企業、Exa Enterprise AIは、NTTドコモビジネスと共に、滋賀県の全庁職員に向けた生成AIサービス『exaBase 生成AI for 自治体』の導入を発表しました。このプロジェクトは、2025年5月のエクサウィザーズとNTTドコモビジネスの資本業務提携後、初めての大規模自治体案件です。
プロジェクトの背景と目的
滋賀県では2023年に、生成AIの試験導入を進め、その効果を確認してきました。この度の導入は、その成功を基にしたもので、職員約6,000名が対象となります。主な目的は、業務効率化を図り、行政サービスの質向上を実現することです。
このプロジェクトのキーポイントは、汎用的なAIの利用から一歩進んだ、庁内の独自データを活用する生成AIの活用です。具体的には、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を導入することで、より正確で迅速な回答を生成できるようになります。
各社の役割と支援内容
このプロジェクトでは、NTTドコモビジネスが生成AIサービスの計画と進捗管理を行い、Exa Enterprise AIが実際のサービスを提供することになります。また、支援内容には以下の2つが含まれます。
1.
体系的な研修と活用促進:全職員を対象とした研修プログラムを策定し、各部署の業務に即したユースケースを支援します。これにより、先進的なユーザーだけでなく、すべての職員が生成AIを活用できる環境を整えます。
2.
大規模導入・運用支援:6000名規模の導入をスムーズに進め、導入後の利用状況を分析しながら改善サイクルを回すことで、最大限の導入効果を目指します。
導入スケジュールと期待される効果
全庁的な本格運用は2025年10月から開始される予定です。それに向けた全職員を対象とした研修プログラムも実施される計画です。
滋賀県の総合企画部DX推進課長、馬場康宏氏は「生成AIは業務効率化を進めるだけでなく、革新的なアイデア創出や新たな可能性を提示するものと期待しています」とコメントしています。
一方、NTTドコモビジネスの関西支社長、奥田智行氏は「滋賀県の全庁的な生成AIの導入プロジェクトに参加できることを光栄に思います。地域の課題解決に向けて、テクノロジーを活用した行政支援に取り組みます」と述べています。
生成AIの主要機能
『exaBase 生成AI for 自治体』には、多くの利点があります。高いセキュリティとコンプライアンスへの対応があり、国内リージョンで利用可能な高精度・高速レスポンスのAI技術が使われます。さらに、会話内容を学習データとして使用しないオプトアウトの設定ができるため、情報の漏えいを防ぐための機能も搭載されています。
これらの取り組みを通じて、滋賀県は職員がより価値の高い業務に集中できるパートナーとして生成AIを位置づけ、県民の生活の質を向上させることを目指しています。最先端の技術を活用した行政の在り方が注目される中、滋賀県の挑戦に期待が寄せられています。