進化するサイバー攻撃に備えるための新報告書
KPMGコンサルティング株式会社は、国内企業におけるサイバーセキュリティの実態を調査し、その結果と今後の対策をまとめた『サイバーセキュリティサーベイ2025』を発表しました。このレポートは、サイバー攻撃の巧妙化や、企業が直面している多様なリスクに対する重要な指針を提供しています。
サイバー攻撃の現状
生成AIの普及により、業務の効率化が期待される一方で、それを悪用したサイバー攻撃も増加しています。特に、業務に関わる重要なデータが狙われており、今年の調査ではサイバーインシデントによる被害金額が1,000万円以上というケースが44%に達しました。この数字は、過去3年で徐々に増加しており、企業の経済的損失はますます深刻な問題となっています。
ランサムウェアやフィッシング、マルウェアが主要な脅威として挙げられ、最近では自然な日本語を用いたビジネスメール詐欺の手法も増加しています。これらのデータは、企業が効果的なサイバーセキュリティ対策を構築する必要性を強く示しています。
サイバーセキュリティの管理態勢
調査によると、サイバーセキュリティに必要な人材の不足感が高まっており、75.5%の企業が「不足している」と回答しています。しかし、適切な体制が整っているという企業の割合も前回の11.2%から23.7%へと増加しています。これは、企業がこの課題に真剣に取り組み始めている兆しです。
企業におけるサイバーセキュリティ対策
クラウドサービスの利用拡大や、複雑化したIT環境の中で、重要な情報の管理がますます困難になっています。調査では、69.6%の企業が適切な情報管理を実施できていないと回答しました。これは、効率的かつ安全な業務を推進するための障壁となる要因です。
子会社および委託先の管理
本社が子会社のサイバーセキュリティのガバナンスを適切に管理していない企業が30%を超えることが明らかになりました。また、委託先に対するセキュリティ指針を整備している企業も50%に達し、外部委託先との連携が進展していることが伺えます。
OTセキュリティの現状
OTセキュリティの成熟度が低いと評価される企業が36.8%に達し、依然として改善余地が大きいことがわかりました。これは、従来のIT環境に加え、製造現場やプロセスがセキュリティの新たな課題を生んでいるという現実を反映しています。
製品セキュリティとAIセキュリティの進展
製品セキュリティの重要性が認識され始めているものの、未だ成熟度レベル1との回答が37%に上ります。しかし、AIリスク管理については着実に整備が進んでおり、前回調査から大幅に増加し、業種によっても早急に取り組む必要があることが示されています。
結論
『サイバーセキュリティサーベイ2025』は、サイバーセキュリティに関する現状を明らかにし、企業が各自のセキュリティ対策を見直す重要性が強調されています。これを機に、企業は自らのセキュリティ対策を再評価し、強化を図る必要があるといえるでしょう。