フィンランド産学視察団、清水のマザー工場へ初訪問
2023年において、フィンランドの大学教授や製造業のエキスパートからなる視察団が、静岡県静岡市に存在する「駿河生産プラットフォーム清水工場」を訪問しました。この視察は、株式会社ミスミグループ本社が主催し、ものづくりのデジタル化と持続可能性を学ぶための貴重な機会となりました。
視察の背景
現在、フィンランドでは「デジタル・グリーン・サプライチェーン」という国家戦略の下、産業のデジタル化を進めています。今回の視察団は、この流れに沿って日本の製造業の最新技術を探求するために来日しました。視察団は、エコシステム・デザインの権威であるヨハン・ヴァリン博士のリーダーシップのもと、早稲田大学の藤本隆宏教授の推薦を受け、特に駿河生産プラットフォーム独自の「変種変量の自働化」という生産システムに注目しました。
フィンランドが製造技術に対する関心を寄せていることから、視察団は多品種少量生産を可能にするデジタル生産モデルの仕組みを深く学びました。特に、800垓にも及ぶ商品バリエーションを提供可能とするその技術への興味が集まりました。
工場視察と技術の体験
視察団は、ミスミグループの生産に関する説明を受けた後、実際の製造現場を見学しました。そこで最初に訪れたのは、自社開発の金型研削システム「ALASHIスタジアム」です。このシステムは、ミクロン単位での精密加工を実現し、変種変量の自働化を進めています。具体的には、1件あたり2~3本というオーダーに対応することで、高精度な金型部品の生産効率と品質を飛躍的に向上させています。
また、もう一つの注目すべきシステムが「meviyデジタルマニュファクチュアリングシステム」です。これは無人生産システムであり、技術的に難易度の高い変種変量に対しても短納期を実現します。「meviy」は、製造業での設計から生産プロセスを大幅に短縮することで業界のデジタルトランスフォーメーションを加速し、2023年には「第9回ものづくり日本大賞」で内閣総理大臣賞を受賞しました。
挨拶と感想
視察の最後に、ヨハン・ヴァリン博士は「駿河生産プラットフォームの短期間での進化に驚かされた」と発言。特にデジタル技術が実際の製品の流れと見事に融合している様子には高い評価が寄せられました。
また、駿河生産プラットフォームの代表取締役社長である遠矢工氏は、フィンランドからの視察団を迎えられたことを光栄に思い、今回の訪問が日々の業務における新たな視点をもたらす機会であったと述べました。
駿河生産プラットフォームについて
駿河生産プラットフォームは2005年に設立され、精密加工技術を基盤に世界トップクラスの製品を製造しています。日本国内の他にも、複数の海外拠点を持つ同社は、デジタル技術を駆使しながらクライアントに新たな価値を提供するために日々努力しています。ミスミグループの先進的なアプローチは、今後のものづくりの潮流を大きく変える可能性を秘めています。