新しい医療のかたち、市販薬への移行
近年、医療保険制度の見直しが進められる中、セルフメディケーションが広がりを見せています。その要因として、処方薬が保険適用外になる可能性が浮上し、自身の健康管理のために市販薬を利用する意向が高まっています。株式会社インテージヘルスケアが実施した調査によれば、特に処方薬と同成分の市販薬に対する期待が顕著に現れています。
調査概要
本調査は、16歳から79歳の男女2,502人を対象に行った「生活健康基礎調査 2025(第35回)」の結果に基づいています。調査内容は、処方薬が保険適用外になった場合の市販薬購入意向についてです。
市販薬に対する購入意向
調査結果から、処方薬と同じ薬剤が市販薬として購入できる場合の購入意向率は次の通りでした:
- 解熱鎮痛剤:38.5%
- インフルエンザの治療薬:30.9%
- アレルギー用目薬:25.7%
- 外用鎮痛消炎剤:23.3%
- 鼻炎用内服薬:22.8%
このように、解熱鎮痛剤やインフルエンザ治療薬に対するニーズが特に高いことがわかります。これらの薬品を市販で購入したい理由には、病院に行く手間を省けることや、診療料がかからないという点が挙げられます。
時間と費用の節約
市販薬を選ぶ最大の理由として挙げられるのが、受診の手間が省け、時間をかけずに購入できる点です。特に実際に病気にかかっている時、長時間の待機を避けたいと考える人々の心理が如実に反映されています。例えば、インフルエンザの治療薬が市販化されれば、症状が出た際に即座に対応できる利便性があり、特に患者のニーズに応える結果となるでしょう。
市販薬化への期待
さらに、たとえ現在市販化されていない「片頭痛の治療薬」や「ピル・低用量ピル」に関しても、高い購入意向が示されました。調査によれば、片頭痛治療薬の市販化を望む人は68.9%、ピル等に関しては64.9%が市販薬としての購入を希望しています。これは、長期的に処方薬を必要とする患者が増える中で、経済的負担を軽減したいという思いが強くなっているためと考えられます。
医療の未来
従来の医療制度が変わりつつある中、「ピルや低用量ピル」のように長期にわたって使うことが多い薬においては、費用面を懸念し、市販薬の選択が進むことが予想されます。また、処方薬の自己負担が増える中、既存の処方薬に対して市販薬としての選択肢が増えることで、生活者の医療へのアプローチが変わっていく可能性もあると言えるでしょう。
今後も医療保険制度の見直しは進んでいくでしょうが、生活者が求める医薬品の供給方法については、より柔軟で応答性の高いシステムが求められる時代になっています。インテージヘルスケアは、今後も生活者の健康意識や実態に寄り添った調査を続け、様々なニーズに応えていく所存です。
生活健康基礎調査について
生活健康基礎調査は、健康意識や市販薬の使用実態を探るための調査で、今年で35回目を迎えます。調査は郵送によって行われ、特定の地域における生活者の意識を把握する貴重なデータを提供しています。