災害対策を昔話から学ぶ!
日本の昔話は、私たちに大切な教訓を教えていますが、時にそれが災害対策において見落とされることがあります。防災士であり、日本マネジメント総合研究所の理事長である戸村智憲は、こうした昔話に潜む災害対策のポイントを検証する新しい指導メニューを提案しました。彼の取り組みは、私たちに身近な物語を通じて、災害に対する認識を改めさせるものです。
防災昔話裁判とは?
戸村氏の考案した「防災昔話裁判」は、「三匹の子豚」や「桃太郎」などの有名な昔話を裁判形式で検討し、それぞれの物語が現実の災害にどう影響するかを考察します。この形式では、昔話のキャラクターを被告とし、彼らは災害に対してどれだけ備えができていたのか、改めて検討されます。ここで見えてくるのは、意外にも見逃されがちな防災の視点です。
1.三匹の子豚裁判
「三匹の子豚」を例に、戸村氏はまず、豚たちの選んだ家の材質が実際に災害から身を守れるかどうかを問い直します。ワラや木でできた家は強風や火災に弱いが、レンガの家は強固で安心できるという基本的な教訓が見えてきます。しかし、実際にはこの昔話が示すように、建築基準法の観点から問題がある場合も考えられます。また、豚たちの行動が不審者の侵入に対する過剰防衛に当たらないかも議論されます。これにより、教訓は防災の観点から新たな考えを提示してくれるのです。
2.桃太郎裁判
次に「桃太郎」を考察します。桃が川を流れてくるという状況は、実は危険要因を含んでおり、果たしておじいさんとおばあさんは適切な水難事故対策を講じていたのかという視点もあります。また、桃太郎が鬼ヶ島に赴く際の事故や暴力的な行動についても問題視されます。こうした昔話が持つ教訓を現代の災害対策にどう活かせるかを考えることが重要です。
3.かさこじぞう裁判
「かさこじぞう」についても触れられ、地震や土砂災害の前兆を感じ取れなかった場合のリスクや、お地蔵さんに対する危険予知が適切であったかが議論されます。また、雪害対策としての行動がどれほど効果的であったかも問われます。これにより、私たちの日常生活や地域における防災対策の見直しを促します。
災害対策・防災教育の意義
戸村氏は、防災には過去の災害知識を織り交ぜるだけでなく、現代に即した柔軟な取り組みが求められると強調しています。私たちが普段から意識すべき点や備蓄、危機管理体制の構築についても継続的な学びが必要であり、そのための講演や研修は非常に重要です。
最後に、昔話が持つ教訓を見つめ直すことは、災害に備えるための大切な一歩です。ぜひ、「防災昔話裁判」を通し、身近な物語を再考し、自分と周囲の安全を考えてみてください。