宇宙を舞う美しきワルツ
2025年5月31日、ウィーン市観光局と欧州宇宙機関(ESA)が共同でオーケストラの華やかさを宇宙に送り込むプロジェクト、「ワルツ・イントゥ・スペース(Waltz into Space)」が開催されます。このイベントでは、ヨハン・シュトラウス2世による名曲『美しく青きドナウ』が特別に宇宙空間へと発信されることが決定しました。
イベントの概要
このイベントは、シュトラウスの生誕200周年を記念し、宇宙の探索を象徴する意味深い活動でもあります。ウィーン交響楽団の演奏する同曲は、オーストリア応用美術博物館(MAK)で生演奏され、その音色は即座に信号化され、スペインの深宇宙アンテナを経由してボイジャー1号に届けられます。この時間差を生かし、曲は約23時間後にボイジャー1号に到達します。
このプロジェクトは、1977年に発射されたボイジャー探査機に『美しく青きドナウ』が含まれなかったことの対抗とも見えます。当時、ボイジャーには多くの曲が搭載されましたが、意外にもこの名曲はそのリストから外れてしまったのです。今回のイベントは、その名誉回復の意味を持ちます。
音楽と宇宙の融合
『美しく青きドナウ』は、1867年に作曲されて以来、数多くの映画や文化に影響を与えてきました。特に、スタンリー・キューブリックの名作『2001年宇宙の旅』では、宇宙船が浮遊するシーンに使用され、その荘厳さから「宇宙の讃歌」としての地位を確立しました。また、スペースシャトル・ディスカバリーの国際宇宙ステーションへのドッキングの際にも再生され、さらなる名声を得ています。
本イベントの詳細
2025年の特別な夜、ウィーン交響楽団による生演奏は現地時間20:30、すなわち日本時間の6月1日午前3:30から行われます。演奏から信号が宇宙へと送信され、音楽体験は地球を超えた宇宙でももたらされます。
信号は月を約1.34秒で、火星を4分20秒後、木星を37分後、海王星を4時間後、そしてヘリオポーズに到達した後にボイジャー1号へと到達します。ボイジャー1号は現在、地球から最も遠い人工物として250億863万キロメートルの彼方を旅しているのです。
宇宙大使としての参加
イベントには、先着13,743人が「宇宙大使」として参加する機会があります。特設サイトでの登録により、自分の選んだ音符が宇宙に送信される際に、名前が一緒に送られてきます。これは無料で行え、すでに多くの著名人もこの“アンバサダー”として参加しています。彼らの名前が宇宙の旅に寄与することは、非常に特別な意義を孕んでいます。
ライブ上映と生中継
また、ワルツ・イントゥ・スペースの様子は特設サイトとウィーン市観光局のInstagramで生中継されます。ウィーン3区のシュトラントバー・ヘルマンやニューヨークのブライアントパークでは、特別なライブ上映会も予定されています。音楽と宇宙の壮大な旅が織りなす瞬間に、ぜひともご注目ください。
この特別なイベントは、音楽の力を通じて地球と宇宙の架け橋を築く試みです。ぜひ、あなたもその一部になってみませんか?