アートが持つ力をテーマにした一色さゆりの最新刊『モナリザの裏側』が、5月20日に新潮社から刊行されます。この短篇集は、名画を通じて人生の岐路に立たされる人々の物語を描いています。特に印象的なのは、母親と一緒に訪れたルーヴル美術館で、一枚の絵が母と父の秘密と繋がっていることを知る主人公の経験です。
本書には、ゴッホやムンク、モリゾ、フランツ・マルクといった名画の影響を受けながら生きる5人の主人公が登場します。それぞれの物語は、パリやニューヨーク、ミュンヘン、オスロ、京都といった多様な舞台で展開され、異なるバックグラウンドを持つ彼らが名画に触れることで自分自身と向き合う姿が描かれます。
物語の一つでは、バブル期の日本でシングルマザーとしてオークションに関わる女性が、ゴッホの「医師ガシェの肖像」に出会うまでの道のりが描かれ、彼女の勇気と決意を引き立てています。また、ムンクの「叫び」にインスパイアされた会社を辞めた男がオスロに旅立つエピソードは、名画がどのように人を導くのかを考えさせるものです。
【著者紹介】一色さゆりは1988年に京都で生まれ、東京藝術大学を卒業後、香港中文大学の大学院で学びました。彼女のデビュー作『神の値段』は第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、その後も多くのアートをテーマにした作品を手掛けています。特に「コンサバター」シリーズや『光をえがく人』『カンヴァスの恋人たち』など、アートと人間の心理に焦点を当てた物語が高く評価されています。
『モナリザの裏側』は、アートへの情熱が込められた傑作であり、名画に触れることで自分の人生を見つめ直す人々の心温まるドラマを描いています。アート好きの方はもちろん、普段あまり本を読まない方にもぜひ手に取ってほしい一冊です。アートの不思議な力に触れながら、自分自身の人生を考えるきっかけを与えてくれることでしょう。