近畿日本ツーリストがSDGsアワードで大賞を獲得
近畿日本ツーリスト株式会社(KNT)は、2023年に開催された「第3回 JATA SDGsアワード」において、最上位の大賞を受賞しました。この受賞は、特に「温泉を楽しみたい」をあきらめないためのオストメイト対象の温泉日帰りツアーが評価された結果です。
JATA SDGsアワードとは?
JATA SDGsアワードは、日本旅行業協会(JATA)が主催し、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための優れた取り組みを表彰するイベントです。このアワードは、経営、社会経済、文化、環境の4つの部門で構成され、高い評価を受けた取り組みが大賞や優秀賞を受けることができます。
受賞した取り組みの概要
今回受賞したプログラムは、オストメイトと呼ばれる、人工肛門や人工膀胱を使用する人々のための旅行体験を提供することを目的としています。特に2024年4月に施行予定の「障害者差別解消法」の改正を受け、内部障害者の旅行環境を改善するために、このツアーが実施されました。
ツアーでは、参加者が安心して温泉に入るための工夫として、目隠しシールを使った体験や、ストーマ装具の製造工程を見学し、製造者との交流が行われました。また、災害時の対応についての講義もあり、参加者同士が悩みを共有し、コミュニティを形成する機会も設けられました。
受賞の背景と評価
JATAからの評価コメントでは、ストーマ装具メーカーとホテルが協力し、オストメイトのための温泉ツアーが実現したことに対し、「誰一人取り残さない社会を実現するための画期的な取り組み」だとされました。特に、旅行の機会が限られている人々に新たな選択肢を提供し、旅行業界全体の理解促進につながる点が高く評価されました。
障害者に対する理解を深めることは、社会全体の課題とされています。内部障害や精神障害、発達障害など、外見からでは理解しづらい障害を持つ方々への意識を高めることが重要です。今後、KNTはこの法改正を機に、障害を抱える人々が旅行を楽しめる社会の実現に向けた取り組みを一層強化していく方針です。
他の受賞作品との比較
KNT-CTグループは今回、大賞の他にも優秀賞や奨励賞を受賞しており、特に環境への配慮や地域コミュニティ支援に関する取り組みでも評価されています。たとえば、クラブツーリズム株式会社が提案した「旅するいきもの大学校! 第1期〜長野県生坂村〜」は、中山間地の村の魅力を再発見し、地域のファンを増やす試みとして注目されています。
今後の展望
KNT-CTグループはこれからも持続可能な社会の実現にむけ、観光を通じた価値提供、責任ある企業活動、社会との共生に注力していく意向です。こうした数々の取り組みを通じ、旅行業界がより良い未来を目指す姿勢を示すことが今こそ重要です。
この受賞は単なる栄誉ではなく、より多くの方々が安心して旅行を楽しめる社会づくりへの第一歩であるといえるでしょう。 KNTが示す新しい旅の形は、多くの人に希望を与え、旅行業界全体に新たな風を吹き込むことに期待されます。