猛暑を乗り越える医薬品配送実証実験に見る持続可能な物流の未来

持続可能な医薬品配送の新たな試み

近年、異常気象による猛暑が常態化し、医薬品の温度管理が大きな課題として浮上しています。本記事では、アルフレッサ株式会社とヤマト運輸株式会社が共同で実施する医薬品配送の実証実験について詳しく紹介します。

実証実験の概要

2025年8月18日から8月29日までの期間、東京都府中市にあるアルフレッサ府中事業所を拠点に、小型EVトラックを用いた医薬品配送が行われます。使用されるのは、日野デュトロ Z EVという最大積載量1トンの小型トラックです。また、ヤマト運輸は断熱・保冷機能付きの輸送用機材を提供し、その中には小型モバイル冷凍機「D-mobico」が搭載されています。

環境に配慮した配送システム

今回の実証実験では、温度品質の確保、配送効率の向上、そして環境負荷の軽減を目指しています。猛暑でも医薬品を安全に届けるために、断熱機能がどう機能するか、またEVトラックを用いることでどれだけ温室効果ガス（GHG）の排出を削減できるかを検証します。この取り組みは、持続可能な医薬品配送ネットワークの構築に向けた重要なステップとなります。

企業のサステナビリティへの取り組み

アルフレッサは、サステナブルな経営を推進するために、地球環境保全や医薬品の安定供給を目標にした活動を行っています。一方、ヤマトグループも2050年までにGHGの実質ゼロを目指し、EV導入や太陽光発電の設備を進めています。また、クール宅急便に導入した「D-mobico」は、従来のドライアイスを使用しない新しい配送方法として注目されています。

実証結果への期待

この実証実験で得られるデータは、今後の医薬品配送の最適化に大いに役立つことでしょう。特に、断熱・保冷機能を活用した新たな配送オペレーションの確立が期待されており、環境負荷を低減しつつ、医薬品を適切な温度で届けることができるシステムの確立が目指されています。

未来への展望

アルフレッサは、今回の実証によって得られた知見を基に、使用する機材や配送オペレーションの適応を進める考えです。また、ヤマトグループは「EVライフサイクルサービス」のラインナップに、今回の実証で使用する機材を取り入れることを検討しています。これにより、医療・物流業界においてサステナビリティをさらに推進することが期待されています。

このように、持続可能な物流の実現に向けて、医薬品配送業界も新たな挑戦を始めています。今後の取り組みから目が離せません。