3Dプリンター住宅が実現する未来――セレンディクスとSCGの提携について

3Dプリンター住宅が実現する未来

セレンディクス株式会社は、日本初の3Dプリンター住宅メーカーとして、注目を集めています。この度、タイの最大手素材メーカーであるサイアム・セメント・グループ（SCG）との基本合意書を締結し、さらなる展開への準備が整ったことが報じられました。これにより、セレンディクスは3Dプリンター住宅に使用する専用モルタルの供給体制を強化し、ますますのグローバル展開を加速させていくことになります。

基本合意書締結の背景

セレンディクスのCEO、小間裕康氏は、当地のニーズに応えるため、安全かつ高品質な素材を安定供給できることが、3Dプリンター住宅市場での競争力を確保する要だと強調しています。今回、SCG傘下のコンクリート製品専門会社、CPACと連携することで、総合的な建設ソリューションを提供し、より持続可能な住宅の供給を目指します。この基本合意書は、両社の技術力と市場経験を融合したもので、建設業界における新たなイノベーションの可能性を秘めています。

セレンディクスのビジョンと未来へ向けた取り組み

「世界最先端の家で人類を豊かにする」というビジョンを掲げるセレンディクスは、ロボット施工技術を駆使し、建設コストを抑えることを目指しています。彼らの目標は、従来の住宅購入方法に革新をもたらし、まるで車を購入する価格で新しい住宅を手に入れるという夢の実現です。2024年9月には、石川県珠洲市において、二人世帯向けの住宅「serendix50」の第1号を建設し、3Dプリンター住宅の量産化に向けた重要な一歩を踏み出すことが予定されています。これにより、デジタル社会の実現への道がさらに開かれていくことが期待されています。

競争環境の変化

世界中で建設コストが高騰する中で、セレンディクスは単に自動化に留まらず、材質や輸送方法、施工技術など多角的なアプローチを行なっています。特に、モルタルは住宅の耐久性と品質を左右する重要な要素であり、その供給をSCGが担うことで、安定した供給と共にコスト削減も同時に実現できる見込みです。SCGは、タイ国内外で高品質なモルタルを確実に提供する体制を整えており、今後のパートナーシップが両社にとっての成功のカギになることでしょう。

今後の展望

SCGのカンラヤー・ヴァルンノー氏は、3Dプリンティング技術によってもたらされる新たな可能性を歓迎し、共同での新素材開発にも期待を寄せています。また、小間氏も、今回の提携を通じて新しい革新的な住宅を提供することを約束しました。

セレンディクスのこれまでの歩み

セレンディクスは2018年に創立され、2022年に日本初の3Dプリンター住宅「serendix10」を23時間で完成させて以来、着実に実績を重ねています。石川県珠洲市での「serendix50」販売に向けた取り組みや、ウクライナの復興住宅モデルを含む国際的な活動も行っており、地域の再生にも寄与しています。これらの活動を通じ、国内外の多様なニーズに応える住宅開発が進行しており、さらなる成長が期待されます。