富士山での「ココヘリ」実証実験の進行状況
「ココヘリ」は、AUTHENTIC JAPAN株式会社が運営する、登山者向けの位置情報捜索サービスです。このサービスは、山岳遭難時に発信機を使用して迅速に登山者の位置を特定し、捜索を行うことができるため、特に「携帯電話の電波が届かない」山岳地帯での安全対策として注目されています。2024年7月からの登山規制に合わせ、富士山の吉田ルートにて実証実験がスタートしました。
実証実験の概要
この実証実験では、登山者の登山速度や滞留時間などの人流データを分析・活用することが主な目的です。登山者には無料でココヘリ端末が貸し出され、富士山五合目から山頂までの位置情報が取得されます。開始から1カ月という短期間で、貸出端末の数は1400を超え、さらに配布は今後も継続される予定です。また、データの収集は日別や時間帯別に行われ、登山者の行動パターンを把握する方針です。
登山規制の導入
2024年7月1日から、山梨県では新たに登山規制が実施され、午後4時から午前3時までの登山や、1日の登山者数が4000人を超えた場合に制限がかけられます。この取り組みの結果、7月1カ月間の登山者数は前年同月比で約16%減少し、登山者は2864人を超える日も見られたものの、全体的には規制効果が表れたと考えられています。特に夜間の登山者数が大きく低下し、安全な登山環境の確保に寄与しています。
今後の展望
この実証実験から得られたデータを基に、登山者の密集傾向やそれに伴う問題点を山梨県と協力して明らかにする計画があります。また、他の山を対象にした同様の取り組みの展開も検討されており、全国的に「ココヘリ」サービスの認知度向上と利用促進が期待されます。この取り組みが登山者の安全を守る一助となることが望まれています。
「ココヘリ」の意義とサービス内容
「ココヘリ」は、山岳地帯での遭難時に、民間のヘリコプターやドローンなどを動員し、発信機と受信機の「直接通信」により迅速な捜査を行うサービスです。通常の携帯電話網に依存せず、山岳地帯でも正確に位置を特定できるこのシステムは、多くの登山者から支持されています。現在、利用者数は17万人を超えました。
会社情報
AUTHENTIC JAPAN株式会社は、福岡市に本社を置き、山岳遭難対策制度「ココヘリ」などの様々な事業を展開しています。代表の久我 一総は、パナソニック出身の経歴を持ち、登山者の安全を守るためにこのサービスを立ち上げました。
この実証実験の成果が、登山者や地域社会にどのような影響を与えるか、今後の進展に期待が寄せられています。