2023年度の上場企業平均年収が過去最高に
2023年度の上場企業における平均年間給与が651万4000円と報告され、過去20年間で最高の水準を達成しました。これは前年度の637万3000円から14万1000円の増加であり、3年連続の増加という結果です。この調査は、株式会社帝国データバンクによって実施され、全上場約3800社を対象に有価証券報告書を基に分析されました。
港業界が牽引する賃上げ
特に注目されるのは、業種ごとの給与状況です。海運業界は業界内で唯一、平均年収が1000万円を超え、具体的には1千万円を達成しました。このような結果は、ポストコロナによる経済活動の回復や、国際貿易の回復に伴うものです。新型コロナウイルスの影響からも早期に脱却し、落ち着きを見せています。
東証プライムの給与水準
また、上場市場別に見ると、東証プライムに上場する企業は平均年収735万円を超えており、過去2年間にわたり700万円超えを維持しています。次いで高いのは東証グロースで、そこも606万4000円と初めて600万円を超えています。この状況は、即時的な業績改善を示すものとも言えます。
約7割の企業で賃上げ
調査結果によると、平均年間給与が前年よりも増加した企業は68.7%に上り、多くの企業が賃上げに動いています。厚生労働省によると、2023年の平均賃上げ率は3.6%でしたが、これを上回った企業も約3割を占めました。このような賃上げは、特に輸出企業において顕著であり、円安の影響を受けやすい企業が業績を上げています。さらに、小売やサービス業を中心に人手不足の影響もあり、待遇改善が進んでいる事が見て取れます。
経済全体の動向と今後の展望
加えて、2024年度に向けては、物価高の影響を受けて初任給の大幅改定を行う企業が増えており、パートやアルバイトの時給引き上げも見込まれています。この待遇改善により、企業はより強力な人材確保を目指しています。業績改善のスピードにはばらつきが見られますが、全体として、平均年間給与はさらに上昇傾向にあることが予測されています。
結論
2023年度の上場企業における給与水準が過去最高を一新し、今後も賃上げの流れが続くことが期待されています。この流れは、コロナによる経済の停滞から立ち直りつつある日本経済の重要な指標として注目されています。