新薬開発ワークショップ
2025-04-02 17:19:49

新薬開発の優先順位を学ぶワークショップが日本橋で開催

日本橋にて2025年3月2日、「創薬開発ワークショップ」が開催されました。このイベントは、製薬業界での意思決定プロセスを模擬的に体験する機会として、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)とバイエル薬品株式会社の共催によって実施されました。参加者は、新薬開発に必要なマインドセットを学ぶことを目的として、多角的な視点からディスカッションを行いました。

今回のワークショップでは、新薬開発の優先順位について議論が交わされました。架空の大手製薬企業のスタッフとして、特許切れを迎える主力製品を持つ企業の今後の戦略を考えるという内容でした。参加者は、複数の開発候補品の中から最も開発すべき製品を選定するために、様々な視点から評価を行いました。

前半では、バイエル薬品の研究開発部門で活躍する谷河賞彦氏をはじめとする専門家が新薬開発のトレンドや各部門の役割についての講演を行い、製薬企業が直面している課題について深掘りされました。

一般的に医薬品の開発には約10年の時間がかかりますが、現在の製薬業界では、治療を必要とする患者に少しでも早く新薬を届けるために、いくつかの施策が講じられています。具体的には、米国主導の「プロジェクト・オービス」や「リアルタイム・オンコロジー・レビュー(RTOR)」などが挙げられます。これらの制度を活用することで、国際的な協力を行い、審査や承認プロセスを短縮する取り組みが進められています。日本企業もその流れに乗り、新薬承認をスピードアップさせる動きがあります。

ワークショップの後半では、参加者が5つの部門に分かれてディスカッションを行いました。各部門の役割に応じて、与えられた4つの開発候補品について優先順位をつける作業が行われます。候補品には各種データが提示され、参加者は複雑な要素を考慮しながら結論を導き出しました。多くの議論が紛糾し、各部門間での意見の相違も生まれましたが、昼食を共にすることで異なる視点を持つ参加者同士のコミュニケーションが促進される姿も見られました。

議論の中で、追加試験や治験の進捗状況に関する新たな課題が続出し、参加者は難題に直面しました。各部門は再び開発候補の優先順位を見直し、最終的な判断を部長会議に持ち込むプロセスを繰り返し、継続して経営陣に対し最適な開発戦略を提案しました。このようにして、参加者は実際の製薬企業が直面する環境を体験しながら、多様な視点からの意見交換を行いました。

ワークショップの進行には、リラックスした雰囲気での議論が促される工夫も施されていました。各テーブルにはホワイトボードや文房具が用意され、休息を挟むためのコーヒーやお菓子も提供されました。参加者はリフレッシュしながら、熱心に議論を交わし、時には厳しい意見も飛び交いました。

イベントの最後には、各チームの成果に対する講評が行われました。特に、「新薬開発の中止」という選択肢が話題となりましたが、講評では社会的責任を重視する意見もあり、簡単には決断できないだろうという指摘がありました。イベント後は懇親会が開催され、和やかな雰囲気の中で参加者同士が交流の輪を広げました。

数回目を迎えた創薬開発ワークショップは、バイエル薬品の協力のもと、今後もスタートアップや投資家、研究者とのつながりを深める貴重な機会として位置づけられています。LINK-Jは引き続き、様々なセクター間の交流を促進していく所存です。


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会社情報

会社名
一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)
住所
東京都中央区日本橋室町3-3-9日本橋アイティビル2階
電話番号

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