ハネウェルとクオンティニュアムが6億ドルの資金調達を実施
2025年9月4日、アメリカ・ノースカロライナ州シャーロット。ハネウェル(Honeywell)は、同社の協力先である量子コンピューティング企業クオンティニュアム(Quantinuum)が約6億米ドルの資金調達を実施したことを発表しました。この資金調達は、クオンティニュアムの企業価値が100億米ドルに評価される中で行われ、特に量子コンピューティングの大規模な展開を加速するための重要なステップと位置付けられています。
資金調達の背景と内容
今回の資金調達ラウンドには、テクノロジー企業のQuanta Computerや、NVIDIAのベンチャーキャピタル部門であるNVentures、投資ファームのQED Investorsが新たに参加しました。これに加え、既存の株主であるJPMorgan Chase、三井物産、Amgen、Cambridge Quantum Holdings、Serendipity Capitalからも追加出資が行われています。新たに、MESHおよびKorea Investment Partnersといった投資家も参画し、クオンティニュアムの成長に寄与することになります。
この資金は、クオンティニュアムが年内に発売予定の次世代量子コンピュータ「Helios(ヘリオス)」の開発や、世界初の誤り耐性汎用量子コンピューティング実現に向けた取り組みを後押しします。クオンティニュアムは、商業用量子コンピューターを提供し、実用的な量子コンピューティングの普及に向けたフルスタックのプロバイダーとして業界をリードしています。
量子コンピューティングの社会的インパクト
量子コンピューティングは、科学的な発見や経済成長、持続可能な社会の実現に貢献する可能性があります。クオンティニュアムは開発者向けのツールやInQuantoなどのアプリケーションを提供し、研究活動を加速させるためのプラットフォームを構築しています。
さらに、同社はNVIDIAとの協力により、新たな研究センター「NVIDIA Accelerated Quantum Research Center」を設立し、量子技術と人工知能の融合による新たなソリューション開発にも取り組んでいます。日本国内では、理化学研究所、ソフトバンク、Infineon、STFC Hartree Centerと連携し、国際的な事業拡大を計画しています。特に、カタールでの合弁事業は、10年間にわたり10億米ドルを投じ、継続的に量子コンピューティングを発展させるプロジェクトであることが明らかとなっています。
企業のコメント
この資金調達を受けて、ハネウェルの会長兼CEOであるヴィマル・カプール氏は、クオンティニュアムが掲げる目標を達成し続けることに全幅の信頼を寄せるとコメントしました。これに対して、JPMorgan ChaseのCTOスコット・ボールドリー氏も、クオンティニュアムの技術の変革的な可能性を実感しており、今後も協力していくことを楽しみにしていると述べています。
一方、クオンティニュアムのCEOであるラジーブ・ハズラ博士は、量子とAIの未来に対する確信を共有することができることを誇りに思い、今回の資金調達が同社のリーダーシップを拡大し、量子エコシステム全体の強化につながることを期待しています。
エコシステムの拡大
クオンティニュアムは、この資金調達を通じて量子技術産業全体の成長を促進するために、製品開発や製造能力の拡大にも注力しています。これは、サプライチェーンの強化につながり、量子コンピュータの商業化をさらに推進する要素となるでしょう。今後も新たな事業展開や革新を通じて、量子コンピューティングの利用が広がることに期待が寄せられています。