水素エネルギーを目指す新たな挑戦
2025年7月22日、富山県南砺市と株式会社BIOTECHWORKS-H2が提携し、商用化実証プラントの設立に向けた協定を結びました。このプロジェクトは、リサイクルが難しい有機性廃棄物を水素エネルギーに変換し、持続可能な地域経済の構築を目指すものです。
環境問題への挑戦
日本は毎年4,000万トン以上の一般廃棄物を排出しており、その約60%が焼却され、CO₂の排出や灰の処分といった新たな環境への負担を引き起こしています。特に、廃棄物の中で再利用されない「非リサイクル有機廃棄物」が問題視されています。これらの廃棄物を資源として活用するためには、新たな技術と仕組みの導入が求められています。
具体的なプロジェクト内容
協定に基づき、南砺市は商用化プラントの用地を提供し、BIOTECHWORKS-H2は独自技術を利用して、有機廃棄物から高純度の水素を生成します。この水素は、燃料電池や再生可能エネルギーとしての利用が考えられています。
両者は2026年のプラント着工を目指して、実施設計や関係機関との調整を進めており、具体的なプロジェクトの推進に向けて準備を急いでいます。
循環型経済モデルの構築
南砺市では、これまで焼却や埋立処分がなされていた廃棄物を新プラントで資源化し、地域発の循環型経済モデルを構築することが目指されています。このプロジェクトは、全国へ展開される予定で、多くの自治体や企業に影響を与えることが期待されています。将来的には海外へも展開し、廃棄物から水素への流れをブリッジするモデルを構築します。
CO₂削減とエネルギー効率の向上
新たなプラント運用により、最大80%のCO₂排出削減が可能となる見込みです。また、稼働後には非リサイクル有機廃棄物のほぼ全量を再資源化できる見通しで、全国では日本の電力需要の約5〜7%をカバーできる可能性があります。
市長とCEOの期待
田中幹夫南砺市市長は「廃棄物がエネルギーになるというのは夢のようです。このプロジェクトが全国モデルとなることを期待しており、積極的に支援します」と語りました。
BIOTECHWORKS-H2の西川明秀CEOも「我々は夢が現実になる日を1歩ずつ近づけて行きます」と早期の実現に向けた意気込みを語ります。
このプロジェクトは、水素生成と発電のプラントの設立を計画している南砺市立野原西地区に位置し、地域から全国、さらには世界へと広がる可能性を秘めています。私たちの未来のために、廃棄物を資源として生かす新たな挑戦が今始まるのです。