「Silenced Newspaper」発行、社会的少数者の声を響かせる新しい試み
東京新聞(株式会社中日新聞社)は、来る12月10日「世界人権デー」に、社会的少数者の声を集めた小さな新聞「Silenced Newspaper」を発行する。この新聞は、国際連合が採択した世界人権宣言を記念するものであり、誰もが平等に人権を享受できる社会の実現を目指している。
「世界人権デー」は、自由や正義、平和に根ざした基本的人権の重要性を再確認する日でもある。日本においては、法務省や全国人権擁護委員連合会がこの日を含む週間を「人権週間」と定め、さまざまな取り組みを行っている。しかし、実際には人権問題は多くのメディアで取り上げられているものの、埋もれた声や無視されがちな社会的少数者の現状は、なお十分に理解されていないのが現状だ。
社会的少数者の声を伝える
「Silenced Newspaper」は、そんな状況を打破するために作られた。サイズは約89mm×約63mmの1ページで構成され、見開き8面には、ミッツ・マングローブ氏や、日本初のFtMアイドル・SECRET GUYZなど、8組の社会的少数者のストーリーが掲載される。彼らの体験や思いは、私たちが普段目にすることのない、深い意味を持っている。
例えば、視覚障害者の宇野和博氏は、「我々は競争社会の中で、多様な人と共に生きていく発想をもたなければならない」と語る。LGBTの代表的存在として知られるミッツ・マングローブ氏は、当事者としての視点から、「普通に生きているだけで理解されるべき」と強調。シングルマザーの原田桃子さんは、経済的な困難から救われることの重要性について訴える。
これらの声は、彼ら自身だけでなく、周囲の人々にとっても考える契機を提供するもので、私たちの社会が抱える課題についての理解を深める助けになるだろう。
配布と特設サイト
「Silenced Newspaper」は、12月10日、渋谷のJR渋谷駅マークシティ下や渋谷男女平等・ダイバーシティセンター等の3か所で配布される予定で、また郵送希望者の中から抽選で1000名にも届けられる。この新聞は、非常に小さなサイズでの発行を意図しており、読者がそれを拡大しなければならないことも意義の一部。これは、埋もれている声を見つけ出すための試みの一環である。
さらに、特設サイトも開設される予定で、そこではすべての掲載記事を閲覧できる。特設サイトは
こちら からアクセス可能だ。このサイトでは、ユーザーがズームアップしなければ内容を見られないため、視覚的にも「無視されがちな声」を意識させる設計になっている。
結び
「Silenced Newspaper」の発行は、単なる新聞の発行にとどまらない。これは人権問題についての意識を高め、多くの人々に思考を促すための重要なステップである。社会的少数者の声がどれほどの影響を持ち、私たちの生活や価値観にどのように関与しているのか、私たち一人ひとりが考えるべき時が来ているのかもしれない。