2025年、ムーミン小説が出版されて80周年を迎えます。この節目を祝うために、フィンランド・ヘルシンキ市立美術館との協力を得て、「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」が開催されます。展覧会は2023年7月16日に東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで始まり、約2年間にわたり全国を巡回する予定です。
本展では、ムーミンを生み出したトーベ・ヤンソン(1914-2001)の多岐にわたる創作活動を振り返ります。トーベは作家として、また画家として、絵本や小説だけでなく、風刺画、漫画などさまざまな形で表現を行い、多くの作品を生み出しました。今回の展覧会は、トーベの初期の油絵や風刺画、さらにはムーミンの原画やスケッチ、彼女の愛用品など約300点を展示し、観客は彼女の創作の深い世界に触れることができます。
トーベ・ヤンソンは、ヘルシンキに生まれました。父が彫刻家であった影響もあり、彼女は10代から画家としての道を歩み、1945年から1970年にかけてムーミンの小説を発表しました。彼女の作品は、絵本からコミックス、舞台に至るまで、多様なメディアに展開されました。その後も大人向けの作品なども手がけ、幅広いアート活動を展開しています。
トーベの作品に登場するムーミン達は、彼女自身の人生や価値観を色濃く反映し、他者をありのままに受け入れ、自分を大切にすることの大切さを教えてくれます。そのため、ムーミンシリーズは誕生から80年が経った今でも、多くのファンに支持され続けています。
展覧会では、ムーミンの世界を体感できる演出がなされており、トーベの新たな壁画も見ることができます。特に注目なのは「フェアリーテイル・パノラマ」という幅約7メートルの壁画で、カラフルなムーミンキャラクターたちが描かれ、映像でも紹介される予定です。
また、トーベは公共の施設のためにも多くの作品を手がけました。中でも1955年には、ヘルシンキにあるアウロラ病院の小児病棟を飾る壁画のコンペティションに参加し、採用された作品が完成しました。その作品には、スナフキンやムーミンママなど親しみのあるキャラクターが含まれ、多くの子どもたちを楽しませてきました。
展覧会の開催は2025年の7月16日から9月17日までで、東京の森アーツセンターギャラリーで行われます。主催は朝日新聞社、企画にはヘルシンキ市立美術館が協力しています。全国各地でも巡回予定で、2025年10月から11月には北海道、2026年2月には長野での開催も決まっています。
この展覧会は、ムーミンの魅力とその源流であるトーベ・ヤンソンの豊かな創作世界を再認識する貴重な機会です。ぜひとも、多くの方に足を運んでいただき、ムーミンの素晴らしさを再発見していただきたいと思います。