地域経済の可能性を広げるローカルベンチャー推進事業
はじめに
東京都渋谷区に拠点を置くNPO法人ETIC.は、ローカルベンチャー協議会を運営し、2016年度から地方資源を活用した起業支援に取り組んできました。この取り組みは、単なる企業支援に留まらず、持続可能で循環型の地域経済を構築することを目指しています。特に今年は、この事業が開始から10年を迎えることを記念し、「ローカルベンチャー推進事業白書2024」が発表されました。
ローカルベンチャー推進事業とは
ローカルベンチャーとは、地域社会の資源を活用して新たなビジネスを創出する企業や団体のことを指します。この推進事業は、起業家の育成や地元企業との連携を強化することで、地域経済の活性化を図るもので、これまでに13の自治体が参加しています。事業スタート以来、売上の増加や新規事業創出の数々の成果が生まれました。
これまでの成果
事業開始から2020年度までの5年間に生み出された起業件数は実に274件に上り、その結果、約57.7億円の売上増が実現しました。また、約400名の起業型・経営型人材が地方にマッチングされました。さらに、2021年度から2024年度にかけても、新たに約53億円の売上が生まれ、256件の都市部企業との協力プロジェクトが実施されています。このような実績は、地域経済の持続可能性向上に寄与しています。
事業の背景と発足
ローカルベンチャー協議会は、岡山県西粟倉村とETIC.の呼びかけに賛同した全国の自治体によって設立されました。この取り組みは、地方創生のカギを握る持続可能な地域経済の確立を目指しています。協議会の創設以来、明確なKPIを設け、定期的にその成果を測定しながら進展を報告してきました。
新たなネットワークの形成
ローカルベンチャー推進事業では、お互いに刺激し合うネットワークが形成されています。起業家同士の交流や、都市部企業とのコラボレーションを通じて、地域課題に対して解決策が促進されています。これによって、地域に新たな価値が生まれ、また新たな起業家を育成する環境が整備されつつあります。
今後の展望
「ローカルベンチャー推進事業白書2024」は、これまでの活動を振り返るだけでなく、今後の取り組みの方向性も示しています。特に、もっと多くの自治体や企業が参加することで、持続可能な地域経済の構築が進むと期待されます。報告書は無料で公開されており、広く社会に知見を共有する場を提供しています。
まとめ
9年間の取り組みを通じて、ローカルベンチャー推進事業は地域経済の持続可能性を高める重要なプロジェクトとして根付いています。これからもETIC.は、起業支援の枠を超えた地方創生の実現に向けて活動を続けていくことでしょう。全国の自治体や企業、人々が手を結び、さらなる地域活性化を目指す未来に期待が膨らみます。