豪華列車「ななつ星」の成功秘話
2024年11月3日、株式会社PHP研究所から唐池恒二氏の新著『ななつ星への道 Stairway to Seven Stars』が発行されます。この本は、2013年に運行を開始した「ななつ星 in 九州」が、どうして世界の旅行業界で高く評価されているのか、その誕生の背景や成功の戦略について語るものです。著者である唐池氏は「ななつ星」の生みの親であり、その存在がもたらした影響について深く探究しています。
「ななつ星」の誕生秘話
「ななつ星」の構想は2009年、唐池氏がJR九州社長に就任した際に始まりました。九州新幹線の全線開業を控える中、他に存在する夢がないことに危機感を覚えた彼は、豪華寝台列車のアイデアを提案しました。最初は社内で強い反発がありましたが、韓国の豪華列車「ヘラン」を視察させることで、意識を変えることに成功します。その後、反対派を巻き込んでプロジェクトを進め、ついには「ななつ星」の運行が実現しました。この頃の決断力と人事配置は、唐池氏のリーダーシップの象徴です。
ブランド戦略の成功要因
「ななつ星」を世界一の豪華列車に育て上げることができた要因は、唐池氏が挙げる五つの要素に分かれています:
1.
心躍る車両デザイン
2.
感動的な物語性
3.
未体験の「おもてなし」
4.
独特な販売戦略とブランディング
5.
柔軟な広報宣伝
特に物語性は、大変重要です。「ななつ星」を形作る車両デザインは水戸岡鋭治氏によるもので、クルーたちの背景やストーリーも一体となって、この列車の魅力を高めています。内外から集結した一流のスタッフが、一つ一つの体験を特別なものにしています。
デザインの重要性
「ななつ星」が特に優れているのは、そのデザインにあります。水戸岡氏は、本来モダンなデザインを構想していましたが、唐池氏の要望でクラシックなスタイルへと変更し、懐かしさと新しさが融合した独特の美しさを実現しました。水戸岡氏自身が装丁と挿絵を手掛け、本書には「ななつ星」の魅力が存分に詰まったデザイン画が掲載されています。
著者のプロフィール
唐池恒二氏は1953年4月2日生まれ。1977年に京都大学を卒業し、国鉄へ入社。その後、1987年には九州旅客鉄道が発足し、『ゆふいんの森』や『あそBOY』等の企画運営に従事。その後も様々なビジネスの再生に関与し、2013年には「ななつ星」の運行を開始。2023年からは相談役として活躍しています。
まとめ
本書『ななつ星への道』は、ただの旅行記ではなく、豪華列車プロジェクトに関わった人々の熱意や、そこから生まれるエピソードが詰まった内容です。唐池氏がどのようにしてこの壮大なプロジェクトを育て上げたのか、その相互作用や戦略を知ることで、読者は「ななつ星」をより深く理解できることでしょう。感動の物語がひしめく一冊に、ぜひご注目ください。