Sharjah市のFDIトップ、日本企業の中東進出を語る
2025年6月18日、東京・グランドハイアットで開催された「日本・シャルジャ投資フォーラム」において、アラブ首長国連邦(UAE)シャルジャ首長国の政府系投資促進機関「Sharjah FDI Office」のCEOであるモハメド・アル・ムシャルク氏が来日しました。同フォーラムでは、彼とワンブルーム株式会社の代表、伊藤弘幸氏との間で、日本企業が中東市場に進出する際のシャルジャの活用可能性について対談が行われました。
このフォーラムは、日本企業と投資家に対してシャルジャの魅力を伝え、理解を深める目的で設立されました。主催は「Sharjah FDI Office」で、日本貿易振興機構(JETRO)が協力しています。特別トークセッションでは、シャルジャでの投資戦略や、具体的な成功事例が紹介され、この地域における成長機会についての実践的な議論がなされました。
Sharjah:UAEの第三の経済ハブ
シャルジャは、ドバイとアブダビに次ぐUAEの第三の首長国であり、高度な産業基盤と教育機関が集まった知的な都市です。製造業、物流、ヘルスケア、ICTといった多様な産業が花開いており、整備されたインフラとビジネスにおけるコスト競争力が魅力です。
2023年には前年比6.5%のGDP成長を記録しました。特筆すべきは、シャルジャの経済における天然資源(石油やガス)依存度が2.7%〜6%と低く、90%以上が非石油部門で構成されている点です。これにより、シャルジャは経済の持続可能性を象徴する独自のポジショニングを持ち、特に中小企業にとっての進出先として注目されています。
ムシャルクCEOは「今こそ日本企業にとってシャルジャが理想的なタイミングである」とし、地理的・産業構造的・戦略的な特徴がGCC諸国への市場拡張の起点となる可能性を語りました。
新たな中東戦略拠点としてのSharjah
この対談では、シャルジャがどのように日本企業の進出の拠点となり得るのか、多くの論点が取り上げられました。「なぜ今シャルジャなのか?」という質問に対する答えとして、日本企業の成功事例が示され、地元企業との共創や、地方自治体間の連携を通じた企業支援の仕組みについても触れられました。
また、シャルジャは製造業だけでなく、環境や文化産業にも力を入れており、特に中小企業がスケーラブルな進出を実現可能なフレンドリーなビジネス環境を提供しています。実際、Tokai OpticalはシャルジャのSAIFゾーンに製造拠点を設置し、GCC地域市場への展開を計画しています。
日本企業にとっての共有ビジョン
「日本企業の技術力はシャルジャが目指す産業の持続可能性と非常に相性が良い」とムシャルク氏は述べ、シャルジャをゲートウェイとして日本企業のさらなる発展を期待しています。
伊藤氏もまた、シャルジャを中長期的で現実的なダイレクトな進出の拠点として強調し、現地企業との協業を通じて日本企業が持続可能な成功を収めるための支援を続ける意向を示しました。
イベントの概要
このフォーラムの開催は、Sharjah FDI Officeが日本企業に向けた投資進出の促進を図る一環ですが、アラブ首長国連邦の持続可能な未来を形成する企業同士の連携がますます重要になってくるでしょう。このような動きは、富裕な中東市場への進出を考える日本のビジネス界に新たな光明をもたらします。日本企業の成功を願う声が今後も続くことを期待しています。