新たねエレクトロニクスの発信地、グローバル・エレクトロニクス・アソシエーションの誕生
2025年6月23日、エレクトロニクス業界に新たな風が吹き込みます。従来のIPCが進化を遂げ、「グローバル・エレクトロニクス・アソシエーション(Global Electronics Association、略称GEA)」として新たなスタートを切るのです。この新団体は、業界標準の設定や認証の面でのリーダーシップを発揮しつつ、サプライチェーンの強化や国際連携の推進を目指します。
新たなビジョンに向けて
新組織のスローガンである「より良いエレクトロニクスで、より良い世界を」は、世界3000社の商品開発に用いる企業や、多数のパートナー、各国の政府との連携を支えることで、実現を目指す政策です。TTMテクノロジーズの社長兼CEOであり、アソシエーションの理事長を務めるトム・エドマン氏は、「組織の変革への支持は、エレクトロニクス業界の本質的な進化を示している」と強調しました。
GEAは、もともとプリント基板の標準化からスタートしましたが、AI、自動運転車、次世代通信など、活動範囲を広げています。エドマン氏は、今後は投資促進や業界のイノベーション推進、サプライチェーンの問題解決に向けて力を入れると明言しました。
イノベーションを支えるリソースの強化
GEAは、業界のパートナーシップや政策提言、業界の洞察を深めるためのリソース拡充にも取り組んでいます。これにより、エレクトロニクス産業全体の発展と向上を図ることが期待されます。また、持続可能で成長可能なサプライチェーンの形成に寄与するため、各サブセクターの連携を強化しています。
グローバル・エレクトロニクス・アソシエーションの社長兼CEOであるジョン・W・ミッチェル氏は、「エレクトロニクスは様々な産業に欠かせない要素であり、その関連サプライチェーンは経済や日常生活に欠かせない存在」との見解を示しました。そして、国家と国際市場の中での協力が不可欠であると強調しています。
日本市場への強い関心
特に日本市場においては、半導体や電子部品の標準化が進められています。GEAは、日本のエレクトロニクス産業がより一層発展するよう支援する姿勢を明らかにしています。また、同アソシエーションは「IPC」に代わって「エレクトロニクス・ファウンデーション」という新たな名称を設け、人材課題の解決にも意欲を示しています。
世界のエレクトロニクス貿易に関する調査結果
これに伴い、GEAはエレクトロニクス関連の世界的貿易動向についての調査結果を発表しました。2023年の世界のエレクトロニクス貿易総額は4.5兆ドルに達し、部品としての貿易額は2.5兆ドルに上るという驚くべき数字が示されています。
また、エレクトロニクス産業のサプライチェーンは、他の分野に比べて遙かに複雑で、国境を越えた協力が不可欠であることも明らかになりました。
複雑化するサプライチェーン
主要な輸出国である中国、ベトナム、インドは、エレクトロニクス製品の生産に必要な部品も他国から輸入しているため、製造拠点を特定の国に戻す「リショアリング」や特定国との経済的なつながりを断ち切る「デカップリング」が困難であることが指摘されています。
ミッチェル氏は、「自国完結ではなく、柔軟性を持つ体制が競争力の鍵だ」と強調し、外部環境に適応する体制が求められる時代になっていることを説いています。
グローバルな事業展開を目指して
グローバル・エレクトロニクス・アソシエーションは、設計から製品に至るまでのバリューチェーンを支えています。メンバー企業はアメリカ、インド、韓国、中国など世界中にわたり、各国の産業界との協力を強化しています。エレクトロニクス業界が抱える課題に立ち向かうたび、GEAはそのリーダーシップのもとで、未来を見据えた活動を進めていくことでしょう。