営業職の成功を左右する仮説提案力の重要性とは?
営業職としてのパフォーマンスを向上させるために、近年「仮説提案力」が非常に重要視されています。特にBring OutというAIベンチャーが実施した商談データの解析結果は、日本の営業スタイルにおいても大きな示唆を与えるものです。2020年に設立されたBring Outは「対話をデータ化して経営を変革する」ことを使命に掲げ、AIを活用した対話解析により営業現場を支援しています。
仮説提案型営業が求められる背景
国外では「仮説提案型営業」(Hypothesis-Based Selling)が重要視されています。Salesforceのレポートによれば、営業チームの78%が顧客ニーズを先取りすることに重きを置いており、76%が積極的な営業姿勢を確立することが求められています。特に、ハイパフォーマーと呼ばれる営業職の40%は仮説提案型営業を行っており、従来型の「御用聞き」営業は極めて少数派になっていることが分かります。この背景には、顧客の意思決定が情報過多や関係者の多さによって複雑化していることが挙げられます。仮説を提示することで、営業担当者は顧客の選択を支援し、結果として成約率を高めているのです。
Bring Outの解析結果
Bring Outは、業界を超えた1000人以上の商談データを解析し、営業職の質問順序や方法によって商談結果がどのように異なるかを示しました。具体的には、ただヒアリングをするのではなく、ヒアリング内容をもとに仮説提案を行う営業職の方が、商談の成果が大きいという結果が出ています。
IT業界では、Bring Outを導入している企業の商談を分析した際に、導入合意を得られた商談ではリスクに関する仮説を提示する割合が約2倍となっていることが明らかになりました。具体的な例としては、「御社が他社のサービスを導入した場合、データ分析が複雑化する可能性がある」といった提案が挙げられます。こうした仮説提案によって商談の成果が上がることがデータで示されています。
人材業界でも適用されたこの仮説提案力は、トップ営業職が成績下位の営業職よりも、過去の商談を振り返りつつ仮説に基づくニーズの深堀りを行う割合がなんと3.2倍だったという分析結果が出ています。
一方で、M&A業界でも顧客に対して仮説提案を行うことで、ハイパフォーマーと通常パフォーマーの間で受注率が1.9倍に差が生じることが確認されています。これらの業界を通じて見えるのは、顧客に対する仮説の提示が商談結果に強い影響を与えるということです。
新たな営業スタイルの提案
こうした商談データの解析を経て、営業職に求められるのは単なる「傾聴」ではなく、顧客の状態を先読みし、仮説を提案する能力であることが明らかになりました。仮説を提示することで、営業職は顧客のニーズを深く理解することができ、また顧客との関係構築にもつながるのです。
このような新たな営業スタイルへのシフトは、日本国内においても進行中であり、Bring Outは今後も商談解析を続け、営業パフォーマンスの向上に貢献し続けるでしょう。
まとめ
Bring Outの使命は、商談のデータ解析を通じて営業職の新たな成功法則を明らかにし、企業の経営変革を支援することです。これからの営業は「聞く力」だけではなく、「仮説提案力」が求められる時代に突入します。顧客の期待を先取りし、より良い提案を行うことで、営業の成約率を高めることができます。営業職の皆さんには、この新たな時代の伴走者として、ぜひ仮説提案力の向上に努めていただきたいと思います。