JTBグループが描く未来の観光業とは?
2026年3月期の第2四半期にあたる決算概要が発表され、JTBグループは新しい戦略を展開しています。新中期経営計画である「新交流創造ビジョン」の第3フェーズがスタートし、「未来から現在を創る」というテーマのもと、ビジネスモデルの変革と経営基盤の強化に力を入れています。
ツーリズム業界の回復が鍵
特に注目すべきは、ツーリズム産業の力強い回復です。観光庁の発表によれば、2023年の4月から8月までの総取扱額は前年同時期の103.6%に達しました。特に大阪・関西万博の開催によって需要が刺激され、訪日外国人客数は過去最速で3000万人を超えました。JTBグループはこの流れを受けて、旅行全般で前年を超える実績を出し、特に訪日旅行やグローバル旅行で顕著な成長を記録しています。
また、旅行業界以外でも、企業向けイベントやビジネストラベルが計画以上の成長を見せています。グローバル事業展開に向けて、Northstar Travel Group社への株式譲受に関する投資判断も行われ、今後の成長に向けた基盤が強化されています。
人財とシステムへの投資
将来の競争力を高めるため、JTBは人財への戦略的な投資、具体的には賃金の改善や要員の増強を進めています。また、基幹システムの刷新にも取り組んでおり、これらの施策が功を奏し計画及び前年を上回る増収増益を達成しました。
事業別ハイライト
ツーリズム事業
- - 法人領域では、教育や企業のマーケットに特化した課題解決型提案が好評を得て前年を上回る成果を上げています。また、2026年に開催されるWorld Baseball Classicに関するホスピタリティプログラムの企画も成功を収めました。
- - 個人領域では、顧客からのフィードバックを元にアプリやデジタル機能の拡充を進めており、特にF1層やZ世代向けの海外旅行専門店が注目されています。
- - 訪日インバウンド領域では、地方の特性に応じたビジネス機会の創出に努めています。
エリアソリューション事業
観光DX領域では、JTB BÓKUNの導入が功を奏し、単月流通額は最高記録を更新しました。オーバーツーリズムの解消に向け手ぶら観光の促進やAIレコメンドの活用も進めています。特に観光地整備や運営支援においても成果を上げています。
ビジネスソリューション事業
ABM戦略を活用し、Meetings & Eventsやプロモーション、企業系BPOの領域で前年を上回る業績を達成しました。顧客の声を反映した新たな戦略の実行が奏功しています。
2026年3月期のビジョン
下期に向けてJTBグループは営業利益120億円を目指し、中長期的な成長に向けたビジネスモデルの変革を進める方針です。これには海外旅行の拡充、DXの推進、DEIB(多様性、公平性、包括性)の実現、サステナビリティへの取り組みが含まれています。経営効率の改善にも力を入れ、より良いお客様への価値提供と社会貢献を目指していく方針です。
JTBグループの新たな挑戦が、観光業界の未来をどのように変えていくのか、今後の動向に注目が集まります。