錦水館が成し遂げた奇跡のV字回復
広島県廿日市市にある創業120年の老舗旅館「錦水館」が、freee会計を導入することで経常利益を3倍に増やしました。この成功の背後には、急激に変化する経済状況に対応するためのデジタル化があったのです。
事業承継後の苦難と経営者の決断
錦水館は、世界遺産である宮島に位置し、優れたおもてなしで知られる宿泊施設です。2019年に6代目の武内智弘氏が社長に就任すると、すぐにコロナショックによる厳しい状況が訪れました。宿泊客は激減し、月々なんと5,000万円ものキャッシュアウトが続くという危機的な状況。そこで彼は、リアルタイムでの経営状況の把握が急務であることに気づきます。
課題と商戦の選択
それまで使用していたオンプレミス型の会計ソフトは、情報が税理士や経理担当者にしか見えず、社員がリアルタイムで業績を知ることができませんでした。コロナ禍での急激な市場変化に直面し、迅速な経営判断が必要とされる中、freee会計の導入が決定されました。
freee会計は、クラウド型のソフトウェアにより、データが即時に更新されます。この導入により、経営陣や幹部が即座にデータを確認できるようになり、部門毎の利益をリアルタイムで把握し、迅速に意思決定ができる環境が整いました。さらに、経理や請求書管理が一元化されたことで、社員からの問い合わせが減少し、業務がスムーズに進むようになりました。
DX推進による経営革新
錦水館では、freee会計にとどまらず、BIツールを含む複数のクラウドサービスを利活用して、さらなるデジタル化を進めています。この取り組みにより、売上の向上や業務の効率化が実現し、例えばランチ時の回転率を上げることで売上は2倍に伸びました。
こうしたデータの可視化によって、以前の粗利益率77%が85%に改善され、経常利益はV字回復を果たしました。武内氏は、デジタル化を通じて「おもてなし」の心をしっかり持ちながら、経営スタイルを柔軟に変えていくことが大切だと考えています。
次の100年に向けた新たな挑戦
錦水館は今後、「5年後に30億円の売上を目指す」という明確な目標を持っています。その実現のためには、さらなるデジタル化と顧客満足の追求を行う必要があります。freee社も、日本の中小企業におけるDXの重要性を認識し、新たな挑戦に取り組む企業を支援する姿勢を強めています。
錦水館の成功事例は、デジタル化の重要性を改めて浮き彫りにしました。経営層から社員までが一丸となり、データという共通言語を用いて次の100年を見据えた経営を創造していく姿勢が、今後の成功に繋がるでしょう。