広島・大阪の戦争の記憶を綴る『70年前の傷跡』の魅力
戦争にあまり触れずに育った著者、成瀬昭彦氏が自身の思いを込めて書き上げた書籍『70年前の傷跡』。この一冊は、彼の平和への希求と、過去の記憶に向き合う姿勢が色濃く反映されています。
彼が広島を訪れたのは20歳の夏のことで、その際に見た原爆ドームの横たわる時間にいたく感動したといいます。その経験が彼の心に深く刻まれ、その後の人生において戦争の記憶を考えるきっかけとなりました。特に大阪に投下された「模擬原爆パンプキン」の存在を知ったときは、未曾有の驚きと共に、自身の無知を痛感したと述べています。
この書籍は、単なる観光や学びを超え、市井の一人として戦争の記憶に触れることで、成瀬氏がどのように感じ考えてきたのかを描いています。彼は、コロナ禍の中で静かに行われた追悼式へも参加し、その際に感じたこと、考えたことを通じて、平和のために何ができるのか再考しました。このように彼の体験は、過去の教訓を未来へとつなげる重要なメッセージを持っています。
著者は言います。「歴史というものは、時の流れに埋もれるものではなく、今を生きる我々の日常の一部として、確かに存在し続けるのだ」と。この言葉は、戦争を経験した世代と未経験の世代をつなげるに違いありません。
著者成瀬昭彦氏の人生背景
成瀬氏は1970年に大阪府堺市で生まれました。高校を卒業後、印刷会社に就職し、安定した職を得る一方で、幼少期に『はだしのゲン』や『耳をすませば』といった作品に触れ、小説を書く夢を抱くようになりました。長年の試行錯誤を経て、2015年にはついに初めての作品を完成させました。
彼は会社員としての安定した生活を送りつつも、歴史の記憶を次の世代に伝えるために出版を決意。平和を願う彼の想いが、これからの人々へとしっかりと受け継がれていくことを願っています。
書籍の詳細と販売情報
『70年前の傷跡』は2025年7月18日に、パレードから出版され、定価は1100円(税込)です。書籍の構成は、四六判で54ページというコンパクトなものでありながら、その内容は深い意味を持っています。
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成瀬氏の作品は、我々が直面する現代の重要なテーマである「平和」と「記憶」を見つめる上で貴重な視点を提供してくれます。今回の『70年前の傷跡』は、過去を振り返りつつも未来への希望を感じさせる一冊となること間違いありません。