「アウトソーシングでできる社会貢献」
2025年2月10日に設立された「グローバル インパクト ソーシング コンソーシアム(GISC)」は、企業が業務を委託することで難民や移民の社会的包摂を実現する新たな枠組みです。この取り組みは、著しい紛争や迫害、気候変動の影響を受けた1億3千万人以上の人々を背景に、その個々の能力を最大限に活かす方法として注目されています。
GISCの目的と目標
GISCは、企業が展開するDX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる業務委託を通じて、様々なバックグラウンドを持つ難民や移民の雇用機会を創出することを目指しています。このアプローチにより、企業は多様性を持つ人材を活用しながら、社会的責任を果たすことができます。また、プロジェクトを通じたリスキリングとアップスキリングにより、難民も新たなキャリアチャンスを掴むことができます。
GISCは、すでに多くの企業や組織との提携を進めており、それぞれの強みを活かした支援プログラムを展開しています。加盟組織には、Robo Co-op、株式会社Shared Digital Center、Eukaryaなどがあり、高度なDX人材を活かしたプロジェクトに取り組んでいます。
インパクトソーシングとは
「インパクトソーシング」とは、企業が業務を外部に委託することで、就労困難な立場にある人々に働く機会を提供する仕組みです。この方式は、「直接雇用」に比べて、企業側にとってコストを柔軟に管理できるメリットがあります。特に不景気の中で、固定費を抑えつつ新たな採用機会を生むことに貢献します。
さらに、この制度によって業務をお試しすることで、潜在的な人材の発掘が可能になるため、企業はより対称的な視点から人材採用を進めていくことができます。これにより、難民や移民に対する雇用の壁も低くなり、多くの人々が活躍できる土壌が整います。
GISC発足記念シンポジウム
2024年11月28日には、GISC設立を祝うシンポジウムが国連大学で開催されました。ここでは、難民支援事例の発表が行われ、さまざまな議論が繰り広げられました。基調講演では、Welcome Japan代表理事の金辰泰氏が、難民と社会全体への影響について語りました。
GISCの取り組みがすでに実を結んでいる事例も紹介され、アノテーションサポート株式会社がマレーシアで無国籍者の雇用機会を創出しているなど、多くの成功例が報告されました。
未来の展望
今後、GISCはさらに多くの人材が活躍できる環境を提供し、企業におけるDX人材の不足問題を解決するための施策を推進します。例えば、包括的なキャリア支援制度や教育制度を整備し、企業と難民の橋渡しを行うことで、新たな雇用機会を創出し続けることを目指します。また、法律や政策の面でも、「インパクトボンド」や「デジタルインパクトソーシング」といった新しいアプローチを模索し、難民支援の枠を広げていく考えです。
GISCの取り組みは日本だけでなく、海外にも波及し、グローバル規模での社会貢献が期待されています。企業は、グローバルな課題解決に貢献する新たなモデルとして、新しい風を巻き起こしていくことでしょう。さらなる具体的なアクションに関しては、GISCの公式ウェブサイトをご覧ください。
公式サイト:
GISC公式ウェブサイト