アジア太平洋のTPA
2025-07-03 16:13:44

アジア太平洋地域の投資家が採用するトータル・ポートフォリオ・アプローチの重要性

アジア太平洋地域におけるトータル・ポートフォリオ・アプローチの重要性



最近のMSCI APAC機関投資家フォーラムにおいて、投資家たちはトータル・ポートフォリオ・アプローチ(TPA)の重要性を強調しました。このアプローチは、レジリエンスと機会重視のポートフォリオ構築に向けた重要な戦略として、多くの機関投資家に受け入れられつつあります。

トータル・ポートフォリオ・アプローチ (TPA) の概念



オレグ・ルバンが開会の挨拶で述べたように、従来の資産クラスを縦割りに運用するモデルは、リスクとリターンが相互に作用する現代の投資環境にはそぐわなくなりつつあります。TPAは、資産クラスごとにサイロ化するのではなく、ポートフォリオ全体を統合的に管理し、より効果的な意思決定を可能にするアプローチです。これにより、投資家はポートフォリオ全体のリスクとリターンをより適切に評価することができます。

グローバルな投資課題への対応



フォーラムに参加した投資業界の専門家たちは、グローバルな分断や、アジアにおけるエネルギー転換の加速といった新たな投資課題に対して、TPAがどのように役立つかを議論しました。特にプライベートキャピタルに対する関心の高まりは、投資の多様化を进一步促す要因となっており、TPAの関連性をさらに強調しています。

組織文化の変革



TPAを導入する際の最大の課題は、組織文化の変革であることが再確認されました。投資部門やリスク部門の責任者は、部門間の連携を図るために共通の目的意識を持って行動することが求められています。ある年金基金運用者は、目的意識と仲間意識が自社のTPA文化の柱であると述べ、そのために自社内のコミュニケーション手段を活性化し、一体感を形成する努力をしています。

プライベート資産と気候変動



また、プライベート資産の割合が増加している背景には、投資家が追求する利回り確保と分散効果があります。MSCIは、2030年までに投資可能な資金の約6分の1がプライベート市場に向けられると予測しています。MSCIの専門家たちは、プライベート市場へのエクスポージャーの拡大に伴う流動性管理や透明性、規制対応の課題も指摘していますが、全体としてプライベート市場は機関投資家のポートフォリオの中心的存在になるという見解を示しました。

地域ごとのアプローチ



日本を含むアジア太平洋地域の機関投資家は、それぞれの地域独自の視点を反映した戦略的方向性を示しています。気候ファイナンスへのアプローチの変化や、個人投資家向けチャネルの拡大、プライベート戦略への資産配分の広がりなどが議論され、リーダーシップが期待される状況です。MSCIの調査によれば、世界の温室効果ガス排出量の半分以上がアジアに由来しており、地域内でのリターンが著しく、資金の59%がアジアへ向けられると予測されています。

AIと投資の進化



フォーラムでは、AIの役割も重要なテーマとなりました。AIは、リスク評価やデータ解析の方法に革命をもたらすとともに、意思決定過程における透明性向上に寄与すると期待されています。投資家は、適応力こそが新たなアルファであると認識し、変化に柔軟に対応していくことが求められています。

総じて、アジア太平洋地域の投資市場は、TPAの導入によって新たな投資機会を模索しながら、より持続可能な未来に向けた変革を進めています。

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