三菱電機が発表した新型パワー半導体モジュール
三菱電機株式会社は、2023年4月22日より新たに家電用のパワー半導体モジュール「フル SiC SLIMDIP『PSF15SG1G6』」と「ハイブリッド SiC SLIMDIP『PSH15SG1G6』」のサンプル提供を開始しました。この新製品は、小型で端子配列を最適化した独自のSLIMDIPパッケージを使用し、SiC製品化を初めて実現したものです。これにより、高出力化と電力損失の大幅な低減を可能にし、さまざまな電気容量の家電に対応しています。さらに、これらの新製品は、2025年にドイツ・ニュルンベルクで開催予定の「PCIM Expo & Conference 2025」や、日本や中国で行われる展示会にも出展される予定です。
パワー半導体の重要性
近年、地球環境問題の意識が高まる中、脱炭素社会の実現に寄与するデバイスとしてパワー半導体の需要が急速に増加しています。特に家庭用電化製品におけるパワー半導体モジュールは、エアコンや洗濯機のインバーターに欠かせない部品です。国内では省エネ規制の強化が求められており、インバーター家電の効率化が急務となっています。
新製品の革新技術
三菱電機の「SLIMDIP」シリーズは、1997年に登場したトランスファーモールド構造のインテリジェントパワー半導体モジュールに始まり、さらにスイッチング素子の性能向上や小型化が進められてきました。2010年には世界初のSiCパワー半導体モジュールをルームエアコン「霧ヶ峰」に搭載し、以降も様々な省エネ技術を開発してきました。
今回の新製品では、当社独自のSiC-MOSFETチップを開発し、高出力化を実現しました。フル SiC SLIMDIPは、現行のSi製品と比較して電力損失が約79%低減されています。「トランスファーモールド」技術により、家電のインバーター基板への使用についても多様な選択肢を提供しています。
ハイブリッド SiC SLIMDIPの特長
ハイブリッド SiC SLIMDIP(PSH15SG1G6)では、SiC-MOSFETとRC-IGBTを一体化し、電力損失を約47%低減しました。この一体化によって高効率な電力変換が可能となり、エアコンのインバーター制御にも適用可能です。これにより、インバーターの設計負担が軽減されるとともに、家電製品のエネルギー消費の大幅な削減が期待されます。特に、家庭内のエネルギー利用効率が一層向上するでしょう。
持続可能な社会への貢献
三菱電機は、100年以上の歴史を持つ企業であり、持続可能な社会の実現に向けて新たな技術革新を進めています。使用されるデバイスがエコであることは、企業の社会的責任として重要な側面です。今後も、パワー半導体モジュールの進化を通じて、環境に優しい製品を提供し続けることを目指しています。新たな製品群が、家庭の省エネに大きく貢献することが期待されます。
結論
三菱電機の新型パワー半導体モジュールは、省エネ家電の実現に寄与するための画期的な技術です。今後の展開に注目し、持続可能な社会の実現を支える重要な要素となるでしょう。