ライオン、GK2による口内フローラの改善を発見
ライオン株式会社は、口腔内部の歯周病原細菌に対して選択的に抑制するグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)の効果を新たに明らかにしました。この研究成果は、今後の口腔健康の維持に大きな影響を与える可能性があります。
研究の背景
現代の歯周病は、口内に住み着く細菌によって引き起こされ、最終的には歯の喪失に繋がるほど深刻な問題です。特に、Porphyromonas gingivalisという菌は、歯肉に炎症を及ぼし、口内フローラのバランスを崩す「キーストーン細菌」として知られています。ライオンはこの問題に対処すべく、10年以上にわたる研究を重ね、口内フローラの重要性に着目。今回のGK2の発見へと至りました。
研究結果の詳細
1. 独自評価系の構築
ライオンは、口腔数学関連の国際的な研究機関であるACTAの協力のもと、GK2が期待される効果を検証するための新たな実験評価系を構築しました。この評価系は、ヒトの唾液からなる複数の口腔細菌を対象に、各細菌の存在比率を定量的に確認できるものです。
2. GK2の効果を実証
この実験により、GK2が口内の歯周病原細菌の増殖を顕著に抑制することが確認されました。具体的には、GK2添加後、全体のフローラの中で歯周病原細菌の占める比率が低下し、より健康的な口内環境へと近づきました。これは、口腔内の菌のバランスを整えるだけでなく、歯周病のリスクを軽減させる可能性が示された結果です。
今後の展望
ライオンは、GK2を基にした新しい口腔ケアの重要性を引き続き広めていく考えです。口内フローラを整えることはただ一時的な対策ではなく、持続的な健康を作るためには必須のアプローチとなるでしょう。今後、定期的なフローラケアを通じて健康な口腔環境を維持することが期待されます。
この発見は、2024年9月に国際的なデンタルジャーナル『Journal of Oral Biosciences』に掲載され、2025年10月の日本歯周病学会においても発表される予定です。
ライオン株式会社の研究チームは、口腔衛生の促進と長期的な健康維持に向けた新たな指針を確立するために、さらなる研究を進めていくことでしょう。口内の健康は、全体的な健康の一部であり、これからもますます注目される分野になることが予想されます。