川崎医療福祉大学、ローコード開発ツール「Claris FileMaker」導入し、時代に即した人材育成へ
岡山県倉敷市にある川崎医療福祉大学は、医療福祉分野の専門人材育成に取り組む大学です。同大学は、2024年7月より、2年次必修科目「病院情報システム演習」において、ローコード開発ツール「Claris FileMaker」を導入しました。
背景:医療現場のIT化に対応する人材育成
近年、医療機関ではIT化が急速に進んでいます。電子カルテやレセプトデータの分析は、病院経営を分析する上で欠かせないものとなっています。しかし、教育機関では、高額な病院用ITシステムを学生が利用することは難しいのが現状でした。
川崎医療福祉大学では、従来の紙ベースの学習方法から脱却し、学生が実際に医療現場で利用されるITシステムに触れられる環境を作ることを目指しています。この取り組みの一環として、「Claris FileMaker キャンパスプログラム」を導入し、医療機関向け電子カルテ・オーダリングシステム「ANNYYS」を採用しました。
FileMakerを用いた実践的な学習
「病院情報システム演習」では、FileMakerを用いてiPadアプリの作成や、電子カルテシステム「ANNYYS」と医事会計システム「WebORCA」の連携などを学びます。学生は、データベースの概念やシステム開発の基礎を理解することで、医療現場におけるIT活用について深い知識と実践力を身につけられます。
学生の学習意欲向上と将来への展望
医療福祉経営学科の学科長である櫃石秀信准教授は、FileMaker導入によって学生の学習意欲が高まっていると語っています。従来、医事会計システムの演習が不足していたため、IT化が進んだ医療機関に就職した際に戸惑う学生が多くいました。しかし、FileMakerを用いた演習を通して、電子カルテと医事会計システムの連携を理解することで、学生は将来への展望を具体的にイメージできるようになり、モチベーションを高めることができるといいます。
医療現場におけるFileMakerの活用
FileMakerは、データベース機能とローコード開発プラットフォーム機能を兼ね備えており、多くの医療機関でDX推進や医師の働き方改革に役立てられています。病院職員がFileMakerを用いて業務システムを開発することで、事務作業の効率化を図り、医療の質向上に繋げることが期待されています。
少子高齢化社会における人材育成
日本のヘルスケア産業は、今後2040年まで成長が期待されています。安定した職場環境と地域経済への貢献という点から、医療機関は学生にとって魅力的な進路の一つです。しかし、近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、医療機関への就職を敬遠する学生が増加しています。
川崎医療福祉大学では、FileMakerなどのITツールを用いた実践的な学習を通して、学生の将来への期待感を高め、入学希望者の増加を目指しています。
まとめ
川崎医療福祉大学は、ローコード開発ツール「Claris FileMaker」を導入することで、学生に実践的なITスキルを習得させ、医療現場のIT化に対応できる人材育成を進めています。FileMakerは、学生の学習意欲向上だけでなく、医療現場の業務効率化にも貢献し、日本のヘルスケア産業の発展に大きく貢献する可能性を秘めています。