古事記の博物図鑑:自然と神話の魅力
伊藤弥寿彦氏の著書『古事記の博物図鑑』が、2025年5月23日に株式会社世界文化社から発売されます。この書籍は、古代日本の自然や神話に触れられる貴重な一冊で、歴史や自然に興味のある方々にとって必読の内容となっています。
古事記の世界観
約1300年前に編纂された『古事記』は、日本の神話や歴史を語る重要な文献です。その中には、ヤマタノオロチやアマテラスなど、さまざまな神々が登場しますが、本書では特に自然界に焦点を当てています。「赤かがち」の実がヤマタノオロチの目に似ているとの記述や、アマテラスに関する勾玉の材質について解説を行い、古代人がいかに自然に対する認識を持っていたかを示しています。
伊藤弥寿彦氏の研究
生物研究家である著者は、自らが撮影した約1000点のビジュアルを通じて、古代日本の自然観を鮮明に描き出します。その研究の一環として、クラゲやカイコを育て、ヒルに血を吸わせる実験を行うなど、まさに研究者魂を体現した行動が魅力です。特に、古事記の冒頭にある「天地開闢」では、大地がクラゲのように漂っていたと記されていますが、そのクラゲを探し、研究する姿勢はまさに子どもたちにも刺激を与えるでしょう。
神話の舞台と勾玉の謎
本書は、アマテラスにゆかりのある勾玉についても詳述しています。スサノオとの約束や、天岩屋戸のエピソードでは、重要な役割を果たします。これらの神話的描写がどのように考古学と結びついているのかを、歴史的観点から考察していきます。特に、7000年前に現れた勾玉の形状や素材についての考察は、歴史と科学が交錯する面白さが詰まっています。
定説の再検証
伊藤氏はまた、本居宣長による『古事記伝』で唱えられた数々の定説を再検証し、新しい発見をしていきます。例えば、「オオクニヌシの国づくり」の記述から、存在がはっきりしない「鵞(ひむし)」についての考察は非常に興味深いものです。従来の説と照らし合わせながら、実際のフィールドワークを経た情報を活かし、歴史的な謎を解き明かしていく過程は読み応えがあります。
まとめ
『古事記の博物図鑑』は、伊藤弥寿彦氏による惹きつける内容が盛りだくさんの書籍です。自然と神話が交差し、古代人の視点から現代を考察する力を与えてくれるこの本は、歴史や自然、そして日本文化に興味のある方々にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
刊行情報
- - 発売日: 2025年5月23日 (金)
- - 定価: 6,600円(税込)
- - 仕様: B5変型/上製/464ページ
- - 発行: 株式会社世界文化社
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