日本の最先端技術が高齢者ケアの新たな道を照らす
近年、高齢化社会が進む中で、認知症に対する新しいアプローチが求められています。そんな中、塩野義製薬株式会社とピクシーダストテクノロジーズ株式会社が共同開発した「ガンマ波サウンド™」が、2025年4月9日にシンガポールで開催された第13回Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにおいて最優秀賞を獲得しました。この受賞の意義や技術の詳細について深掘りします。
アジア太平洋エルダーケア・イノベーション・アワードとは
「Asia Pacific Eldercare Innovation Awards」は、アジア太平洋地域において最も権威ある高齢者ケアの国際的な賞として、通称「高齢者介護業界のオスカー」とも称されています。このアワードには世界中から多くの医療・福祉機関やスタートアップ、研究機関が応募し、今回の受賞はその中でも特に価値のある評価であると言えるでしょう。
受賞した「ガンマ波サウンド™」の概要
「ガンマ波サウンド™」は、認知機能のケアを目的に開発された技術であり、特に認知症の高齢者のリハビリや幸福感の向上に寄与します。最優秀賞を受賞した部門は以下の通りです。
- - TECHNOLOGY - DEMENTIA CARE: 認知症患者の生活を豊かにするテクノロジーに与えられる賞で、最優秀賞に輝きました。対象技術は「Gamma Wave Modulation Technology」です。
- - PRODUCT (COGNITIVE TRAINING & REHABILITATION): 優秀賞を受賞した製品は「Gamma Wave Sound Speaker - kikippa-」です。これは高齢者が自立しやすく、幸福感を得るための製品です。
- - DEMENTIA EMPOWERMENT: 認知症高齢者の自立を促進するプログラムに与えられる賞で、こちらも優秀賞を受賞しました。対象プログラムは「SoundCare - Gamma Wave Sound」です。
専門家による評価
本技術について、審査委員からは以下のような評価が寄せられました。「今までの取り組みでは、利用者が意識的に取り組むことが求められていましたが、自然に日常生活に溶け込む形で認知機能をサポートする環境を設計する点に大きな可能性を感じました。特に40Hzの周波数に着目した点はユニークで、今後の高齢者ケアにおいて注目すべき要素です。」
塩野義製薬のコメント
塩野義製薬の執行役員、三春洋介氏は「ガンマ波サウンド™」が評価されたことに心からの光栄を示し、超高齢社会に向けた新たな医療ソリューションの提供を目指す姿勢を強調しました。「音」を手段として用いることで、認知機能ケアを日常生活に取り入れる希望を持っているとのことです。
ピクシーダストテクノロジーズのコメント
ピクシーダストテクノロジーズの代表取締役社長、村上泰一郎氏も、今回の受賞を大変光栄に感じており、今後も社会的意義のある技術を開発し続ける意向を示しています。ガンマ波サウンド™は、音を通じてケアを生活に寄り添わせる新たなアプローチを象徴しています。
今後の展望
「ガンマ波サウンド™」の開発により、高齢者ケアの環境が変わる未来が見えてきました。これまで特別な場とされていた介護施設や病院だけでなく、「音を伴うすべての場所」が認知機能ケアの場に変わる可能性を秘めています。両社はこれからも取り組みを続け、新たなヘルスケア体験を社会に提供していく計画です。歳を重ねても自分らしい生活を送れる未来を目指して、努力を惜しまない姿勢が今後の高齢者ケアをさらに進化させていくことでしょう。