天神さまの飛梅を後世に伝える儀式
2024年1月24日、東京都文京区にある湯島天満宮で特別な儀式が行われます。この日は、京都・北野天満宮から飛梅の苗木を奉納するという意義深いイベント「令和の飛梅伝説」が実施されます。
飛梅の伝説とその背景
この飛梅は、平安時代に遡る歴史を持ち、御祭神である菅原道真公がかつて自邸で育てていた紅梅が起源です。彼が亡くなった後、梅はその御霊を偲ぶかのように天へ飛翔し、現在まで連なる「飛梅」として信仰され続けています。北野天満宮の御本殿前に根付く飛梅は、千年以上の歴史を誇る最古の梅として、多くの信者から大切に守られてきました。
「令和の飛梅伝説」の意義
今回の奉納は、令和9年(2027年)に行われる菅公御神忌千百二十五年半萬燈祭の記念事業の一環として企画されています。湯島天満宮は、江戸エリアにおける天神信仰の中心地とされており、北野天満宮の飛梅を奉納することは、歴史的な繋がりを結びつける重要な役割を果たすのです。
植樹式の詳細
この儀式当日は、両方の宮司が参加し、湯島天満宮の御本殿で奉納奉告祭が行われ、その後に飛梅の植樹式が執り行われます。この植樹によって、千年以上にわたる天神信仰が未来へと引き継がれるのです。
北野天満宮の梅の特別さ
北野天満宮には約1,500本の梅が植えられていますが、その中でも飛梅は特別な存在です。文献によると、延喜7年(907年)には既に「飛梅は紅梅なり」との記録があり、その歴史的価値の高さが伺えます。また、寛政5年(1793年)の日記には、飛梅木として特別な扱いを受けていたことが記されており、まさに神聖な存在です。
組織培養による飛梅の保存活動
近年、ウメ輪紋ウイルスによる危険性が懸念されている中で、北野天満宮と住友林業は2009年から『北野天満宮御神木の梅研究開発プロジェクト』に取り組んでいます。このプロジェクトでは、飛梅の組織培養による苗木の増殖が進められ、2015年には世界で初めて花梅の組織培養による増殖に成功しています。
この技術を用いて育てられた北野天満宮の飛梅の苗木は、樹齢10年、高さ約3メートルとなり、2022年には初めて開花を迎えました。これらの活動は梅の保存だけでなく、歴史的な遺産を未来に繋げるためでもあります。
今後の展望
湯島天満宮への飛梅の苗木奉納は、天神信仰と自然保護の両方に大きな意義があります。住友林業は、今後もこの成果を「令和の飛梅」として全国の天満宮に還元する取り組みを進めていく予定です。これにより、梅の文化や歴史を後世に受け継いでいくことが期待されています。
地方の名木や古木の保存を考えた活動も行われており、全国の梅に関する相談窓口も設置されています。いっそうの発展を期待したい全国の梅愛好者にとって、このイベントは注目すべき重要な出来事です。